欧州はすでに2年前の6倍の弾薬を生産している=ルッテNATO事務総長
北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長は27日、欧州諸国は現在、2年前の6倍の量の弾薬を生産しているが、軍産複合体の活動ペースはさらに加速させる必要があると発言した。
ルッテNATO事務総長がドイツのウンターリュス市にある欧州最大のラインメタル社砲弾工場開所式でのスピーチで発言した。NATO広報室が動画を公開した。
ルッテ氏は、「欧州の年間榴弾砲砲弾生産能力は、わずか2年前の6倍に増加した。年内には200万発に達すると見込まれている。ラインメタル社がこの成長の大部分を担っている」と述べた。
また同氏は、防衛産業の生産者に対し、戦車、防空システム、ミサイルの生産を増やすために同様の努力をするよう呼びかけた。
その際同氏は、「ラインメタル社のあなた方と大西洋間地域の防衛産業基盤全体に対して、高いレベルの生産を維持し、目標をさらに引き上げ、同盟全体、そしてもちろんウクライナのようなパートナーと協力する機会を活かすよう要請する」と述べた。
同氏は、ウンターリュスの工場だけでも年間35万発の榴弾砲砲弾を生産する計画だと指摘し、ラインメタル社の世界中の工場が今年中に70万発の榴弾砲砲弾を生産する予定だと指摘した。
さらに同氏は、ロシアと中国が軍事生産を加速させて、NATOに挑戦しているため、NATOは、とりわけウクライナのイノベーションから学びながら、自らの防衛産業基盤を強化する必要があると訴えた。
その際同氏は、「私たちが直面している挑戦が近い内に消えることはない。極めて不可欠な兵器の生産を加速するために、私たちは砲弾の生産能力増強における経験を頼りにすることができる。そして、ウクライナの革新的な産業動員から学ぶことができる。したがって、私たちは稼働していない生産ラインの一部を再稼働させ、より迅速な生産プロセスを開発し、発注のあるときに、より迅速に納品できるよう部品を調達する必要がある」と述べた。
同時に同氏は、NATOは、自国の兵器庫を補充できるようにするために、とりわけ第三国から供給される極めて重要な原材料への依存を減らし、価格を管理する必要があると指摘した。
同氏は、わずか14か月で建設されたラインメタルの新工場の建設速度を高く評価した。
そして同氏は、「これは、特に私たちが攻撃的な挑戦を受けている中で、欧州と北米全体の経済と社会の繁栄と安全を確保するために、正に私たちが必要としていることだ。ロシアと中国は、不透明な形で軍事資源と能力を拡大している。彼らの防衛企業は、モスクワや北京での大規模なパレードで誇示するためだけでなく、勢力圏を確保し、力を投影し、ルールに基づく国際秩序を破壊するために、信じ難い速さで武器や重装備品を生産している」と強調した。
同氏は具体的に、ロシアは今年だけで少なくとも1500両の戦車、3000台の装甲車両、数百発のミサイル「イスカンデル」を生産すると予想されていると述べた。さらに同氏は、中国については、すでに世界最大の海軍と世界有数の防衛企業を保有していることを喚起した。
同氏はその上で、「彼らの軍事力増強は、明確な方向性を示している。彼らは私たちとの長期的な対立と競争に備えている」と明言した。
そして同氏は、ドイツが防衛費増加において主導的な役割を果たしていることを称賛した。同氏はその際、「ドイツはすでに2029年までに約1530億を防衛に投資する計画を発表した。(中略)ドイツは主導的な役割を担っており、そうすべきだ。あなた方は欧州最大の経済国であり、あなた方がそうすれば、他国も後に続くだろう。私たちは、NATO加盟国が今、欧州全体で防衛により多く投資しようと希求しているのを目にしている」と述べた。