トランプ氏との会談は期待を上回るものだった=メルツ独首相

ドイツのメルツ首相は、欧州の首脳たちとトランプ米大統領の会談は、期待に応えただけでなく、その期待を上回るものだったと指摘した。

メルツ首相がワシントンでのゼレンシキー宇大統領、欧州首脳、トランプ米大統領が参加した会談後に記者団に対して発言した。ドイツ政府広報室がメルツ氏の発言を公開した

メルツ氏は、「全てがこのように進展するとの確信がなかったことを、私は隠さない。違う結果になることはあり得た。しかし、この会談に関する私の期待は応えられただけでなく、それは上回られたのだ。(編集注:トランプ)大統領は非常にオープンだったし、特に人道的な問題に関してそうであった。例えば、私たちはウクライナから拉致された1万9000人以上の子供たちの問題を非常に集中的に議論した」と伝えた。

また同氏は、会談に出席した欧州の首脳たちは「よく準備され、よく調整されていた」と指摘した。そして同氏は、「私たちはまた、同じ立場を防衛した。私は、私たち欧州の人々がここで単一の声で話しているということに気づいたという意味で、米国大統領はそれを気に入ったと思っている。ご存じの通り、私にとってそれが特に重要だった」と述べた。

加えて同氏は、今は「ウクライナと欧州にとって、本当に運命を決める日々」だと強調した。

その上で同氏は4つの重要なメッセージを強調した。

同氏は、「第一に、真の交渉は、ウクライナ自身が参加する首脳会談においてのみ可能だということだ。そのような首脳会談は、戦闘行為が停止した場合においてのみ可能だ。私は今日、この要求を改めて繰り返した。第二に、そのような首脳会談は綿密に準備されなければならない。ロシア大統領にそのような首脳会談へやってくる勇気が十分にあるかどうかは、私たちには分からない。だからこそ、説得力のある働きかけが必要だ」と主張した。

関連して、同氏は、ホワイトハウスでの会談中にトランプ大統領がプーチン氏に電話をかけたことに言及し、「今後2週間以内」にプーチン氏とゼレンシキー宇大統領の間で会談が行われることで合意したと指摘した。そして同氏は、「トランプ大統領は、その後に、交渉がようやく真に開始できるよう、三者会談に再び招待することに同意した」と伝えた。

第三に、同氏は、ウクライナが「領土的譲歩を強いられるべきではない」ということだと伝えた。同氏は、「ロシアによる、ウクライナがドンバス地方の自由な部分を断念すべきだという要求は、米国がフロリダを放棄すべきだという提案に匹敵する規模だ。主権国家がそのような決定を容易に下すことはできない。これは、ウクライナが交渉の過程で自ら下すべき決定だ」と述べた。

また第四に、同氏は、トランプ大統領のウクライナへの安全の保証の提供に関する発言を歓迎した。同氏はその際、「これらの安全の保証は、長期的で集中的な議論を要した。最終的には、米国は欧州と連携しつつ、安全の保証を提供する準備がある。したがって、和平協定が結ばれた際には、ウクライナにはしかるべき安全の保証が与えられることになろう。これが今日の交渉状況だ」と強調した。

同氏はその際、「誰が、どの程度の規模で安全の保証に参加するかという問題は、もちろん、私たちは欧州のパートナー間、そして米国政府とさらに議論しなければならない」と補足した。

同時に同氏は、「欧州全体がこれに関与すべきであることは明らかだ。これはウクライナの領土だけでなく、欧州の政治秩序にも関わることだ。私にとって、ドイツ連邦共和国として、これに参加することに大きな関心と大きな責任があることは明らかだ。どの程度の規模かについては、私たちは欧州で議論しなければならない」と強調した。

写真:ウクライナ大統領府