露軍集結は決定的なものではなく、侵攻の深刻なリスクはない=ウクライナ安保会議書記

ウクライナのオレクシー・ダニーロウ国家安全保障国防会議(NSDC)書記は、ロシア軍部隊の集結は10月時点の9万3000人から現在までに10万4000人まで増加しているが、それは決定的な集結ではなく、ロシア軍侵攻の深刻なリスクはないとの見方を示した。

ダニーロウNSDC書記がAFP通信のインタビュー時に発言した。デイリー・メールが報じた

ダニーロウ氏は、プーチン露大統領はサイバー攻撃を行ったり、エネルギー危機を強めたりすることで、ウクライナを国内から不安定化したがっているとし、それがプーチンの主要な課題であり、それがうまくいかなかった場合に、クレムリンは露軍部隊に国境を越えさせる可能性があるとの見方を示した。

また同氏は、「彼らは、私たちの国を分裂させて、現在の国境での私たちの国を消滅させたがっている」と指摘した。同氏は、「(プーチン氏は)私たちの国を破壊したがっているのだ」「彼にそれができるだろうか? 否、できない。ウクライナ国民が国を守っていく」と発言した。

さらにダニーロウ氏は、ロシアが、あたかもウクライナこそが(編集注:ウクライナ東部駐留のロシア占領軍に対して)侵攻を計画しているなどと非難していることについては、ウクライナ側にそのような計画はないと否定した。同氏は、そのような計画は民間人に多くの犠牲を生み出すものであり、ウクライナ政権はそのような決定は採択していないと強調した。

同氏は、「私たちは、協議が行われることを望んでいるのであり、ロシア人が自らの部隊、戦車を撤退させ、家に帰ることを望んでいる。しかし、プーチンがそれを望んでいないのだ」と発言した。

他方で、ダニーロウ氏は、現時点ではロシア軍部隊が必ずウクライナに侵攻するというような深刻なリスクは存在しないと発言した。同氏は、ウクライナ国境周辺のロシア軍部隊の集結は決定的なものではなく、ウクライナ側の評価では、ウクライナ周辺の露軍兵力は10月時点の約9万3000人から現在約10万4000人に増加したが、「私たちは、それを大きな増加だとは思っていない」と発言した、

同時に同氏は、ウクライナ政権は、戦争に関する話で「人々を脅かしたくない」と考えているとし、その理由は、そのような話は「国内情勢を不安定化する」からだと発言した。

なお、現在ロシアは、ウクライナとの国境沿いと被占領下クリミア・ドンバスに兵力計10万以上の部隊を集結させている。これを受けて、西側諸国は、ロシアのウクライナへの再侵攻の可能性につき強い懸念を表明している。

また、ロイター通信は、過去数週間、ロシアがウクライナ東部の占領地に傭兵を活発に投入していると報じている