「ロシアはこれまでもウクライナに武力を行使してきた」=NATO事務総長

ストルテンベルグ北大西洋条約機構(NATO)事務総長は8日、NATOは紛争の解決に手段としての協議を支持していると述べ、7日の米露首脳会談を受けて、ロシアがウクライナに対する攻撃的振る舞いを控えることを期待していると述べた。

ストルテンベルグNATO事務総長がドイツのシンクタンクFriedrich Ebert Stiftung主催のオンラインディスカッション「私たちの時代の平和政策」の際に発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。

ストルテンベルグ氏は、「対話のみが道であり、私たちには政治的決定が必要だ。そのため、私たちは、ロシアに対して、沈静化を行い、部隊を撤退させ、緊張を下げ、自らの意向を透明に示すよう要請している。私たちは、昨日バイデン大統領とプーチン大統領の間で行われた対話を歓迎している。私たちは、その結果として、ロシアが今回は軍事力を行使せず、主権ある独立した欧州の国であるウクライナの主権と領土一体性を尊重することを期待している」と発言した。

同氏は、ロシアが長い間ウクライナ国境沿いに部隊を集結させ続けており、現状は確かに深刻であるとと指摘した。

加えて同氏は、「実質的には、それ(露軍集結)はウクライナ国内でも起きている。というのも、ロシアはウクライナ領クリミアを占領しているし、ロシアはウクライナ東部ドンバス地方に(軍事)プレゼンスを維持し、分離主義者を支援しているからだ。私たちは、(ウクライナ東部にて)ロシアの重火器や軍部隊や電子戦に対応する様々な能力を持つ無人機や、また戦闘行為への準備のできた何千の軍人を目にしている」と発言した。

さらに同氏は、現在誰にもロシアの意図はわからないとしつつ、しかし、ロシアがこれまでもウクライナに武力を行使してきたことは周知のことだと述べ、「彼ら(ロシア)は2014年にすでにそれ(武力行使)を実行したのであり、彼らは今もウクライナ東部の自らの(軍事)プレゼンスによってウクライナの安定性を弱体化し続けている。彼らは、ウクライナに対してサイバーやハイブリッドの攻撃を行っている。そのため、私たちは、彼らの能力を把握しているし、私たちは、彼らの破壊的行動の歴史を知っているのであり、だからこそ、現状を非常に深刻な状況と受け止めているのだ」と強調した。

写真:NATO