ウクライナ保安庁、キリル露正教総主教にロシア侵略を正当化した容疑伝達

ウクライナ保安庁(SBU)は、ロシア正教会のキリル・モスクワ総主教に対して、ウクライナの領土一体性と不可侵性の侵害とロシア連邦による武力侵略の正当化の容疑を伝達した。

4日、SBUがテレグラム・チャンネルにて発表した

発表には、「SBUと検事総局は、ロシア連邦の武力侵略を促進し、占領軍の戦争犯罪を否定しているロシア正教会の総主教ウラジーミル・グンジャエフ(『キリル』として知られる)に対する証拠を集めた」と書かれている。

捜査班の情報では、グンジャエフ氏(キリル総主教)はロシアの軍事・政治首脳陣の側近の1人であり、ロシアの対ウクライナ全面侵略戦争をいち早く公に支持した人物の1人だという。

また、ロシアのプロパガンダ拡散のために、グンジャエフ氏はロシア領内のロシア正教会宗教コミュニティや、ウクライナ領内のウクライナ正教会(モスクワ聖庁系)の代表者を大規模に利用してきたと書かれている。

さらに、グンジャエフ氏は、オンライン説教やビデオコメントの形態でクレムリンのナラティブを定期的に拡散しているという。

とりわけ、2022年3月、ロシア正教会のウェブサイト上に典礼に関する記事が公開されており、そこでは聖職者が対ウクライナ戦争のためにロシア親衛隊のヴィクトル・ゾロトフ指揮官を祝福したことが記載されているという。

さらに2023年2月末、ロシア正教会公式ユーチューブ・チャンネルに、グンジャエフ容疑者がウクライナ東部の占領を正当化する発言を行っている動画が公開されていると報告されている。

同時に、グンジャエフ氏は、ロシアの中央テレビ局のプロパガンダ拡散者に対して繰り返しコメントをしており、その際、クレムリンの侵略政策を支持した上で、信者に対して対ウクライナ戦争で団結するよう呼びかけているという。

その上で、SBUは、同庁主導の捜査により、グンジャエフ氏(キリル露正教会総主教)の犯罪活動が確認されたと伝えた。

捜査により収集された証拠を根拠に、グンジャエフ氏に対して、ウクライナ刑法典の「ウクライナの領土一体性と不可侵性の侵害」(第110条3項)、「ロシア連邦の対ウクライナ武力侵略の正当化、合法性の承認、否定、侵略参加者の賛美」(第436−2条3項)、「侵略戦争の計画、準備、開始、遂行」(第27条5項、第437条2項)に該当する容疑が伝達されたという。

また、容疑者によるウクライナに対する犯罪の責任追及のための包括的方策が継続されていると書かれている。