オランダにて、マレーシア航空MH17裁判審理が終了 判決は秋以降

6月10日、オランダの裁判コンプレクス「スキポール」にて、2014年7月のウクライナ東部ドネツィク州上空でマレーシア航空MH17が撃墜された事件の審理が終了した。今後、裁判官は判決に向けた準備を行う。

ウクルインフォルムのハーグ特派員が伝えた。

ステンハユス裁判長は、9月22日に開かれる次回公判は技術的な性格のものであり、その際に最終判決公表の日程が発表されることになると発言した。同氏は、裁判官は全ての主張を審議するために時間を必要とするとし、最短で判決が公表される可能性があるのは11月17日だと伝えた。

なお、同日の審理では、被告の一人、ロシア国民のオレフ・プラートフ氏が動画メッセージを送り、自身はMH17撃墜、298名の死亡に罪はないと主張した。

プラートフ被告の弁護士は、原告側主張は根拠が薄く、プラートフ被告を無罪とするよう裁判所に呼びかけた。弁護士たちは、原告側は、事件の「代替的見方」に対する注意が不十分だと主張した。

マレーシア航空機撃墜事件とは、2014年7月17日、アムステルダムからクアラルンプールへ向かっていたマレーシア航空機MH17がウクライナ東部ドンバス地方上空で武装集団により撃墜され、乗客・乗員合計298名全員が死亡した事件をいう。

2016年9月、国際共同捜査チーム(JIT)は、同事件の技術捜査の結果として、同航空機が、親露武装集団支配地域から地対空ミサイルシステム「ブーク」により発射された弾頭「9M38」により撃墜されたことを判明させている。

同時に、民間調査グループ「ベリングキャット」は、MH17を撃墜した「ブーク」がロシア軍第53対空旅団発のものであることを判明させていた。ベリングキャットは、ソーシャル・メディアとオープンソース情報の独自の分析を通じて、MH17撃墜に関与した20名のロシア軍人を特定させた報告書を発表した。これら軍人の名前が写真付きで示されているこの報告書は、オランダの検察に渡されている。

2018年5月24日には、JITは、MH17を撃墜したロシアのミサイルの破片を公開しつつ、ミサイルがロシアのクルスクを拠点とするロシア軍第53対空ミサイル旅団に属するものであることが判明したと発表した。

なお、2019年6月、マレーシア航空機MH17撃墜事件の捜査を行う国際共同捜査チーム(JIT)は、同撃墜に関与した容疑者4名(イーゴリ・ギルキン(ロシア国籍、ロシア連邦軍元将校、ロシア連邦保安庁(FSB)元大佐)、セルゲイ・ドゥビンスキー(ロシア国籍、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)大佐)、オレグ・プラートフ(ロシア国籍、予備大佐)、レオニード・ハルチェンコ(ウクライナ国籍))を公表している。

MH17の公判は、2020年3月に始まっていた。