ロシア占領政権、南部ヘルソン州で夫婦を拉致

クリミア・タタール民族代議機関「メジュリス」のチュバロフ代表は27日、ロシアが占領するウクライナ南部ヘルソン州ノヴォオレクシーウカ町にて、ロシア軍がマメド・ムサイェフ氏・テチャーナ・バジロヴァ氏夫婦を拉致し、隣接する自治体にある拷問部屋へ連行されたと伝えた。

チュバロフ氏がフェイスブック・アカウントに書き込んだ

チュバロフ氏は、「今朝、ヘルソン州へニーチェシク地区ノヴォオレクシーウカ町にて、地元のクリミア・タタール系住民の住居へのロシア特殊機関の侵入と家宅捜索が行われている。(中略)ロシア占領者がノヴォオレクシーウカ住民自宅の家宅捜索後に、マメド・ムサイェフ氏・テチャーナ・バジロヴァ氏夫婦を力づくで連れ去ったことがわかっている」と書き込んだ。

同氏は、目撃者によれば、両者はすでにへニーチェシク市にある、ロシア軍が拷問室を作って利用している第17専門学校へと連れて行かれ、拘束されていると伝えた。

その上で同氏は、ウクライナの法執行機関や特殊機関に対して、ロシア占領者がヘルソン州で行っている犯罪の捜査を行うよう呼びかけた上で、「特に、ウクライナ国民に対する大規模拷問の場となったへニーチェシクの第17専門学校に注意を向けるよう」強調した。

なお、ヘルソン州では、ロシア占領政権による住民の拉致が続いている。同州シチャスリウツェヴェ村では、5月3日にエデム・アサノフ氏とレファト・アサノフ氏が拘束されていた。

2月24日のロシア軍のウクライナに対する全面的侵略により、現在ウクライナ南部では、ヘルソン州とザポリッジャ州の一部がロシアにより占領されている。占領開始当初は、両州各地で住民による反占領集会が盛んだったが、ロシア軍人よる地方自治体関係者、記者、教師、活動家、聖職者などへの拉致、略奪、拷問などの被害が相次ぎ、次第に反占領集会の頻度は下がっていた。

4月24日、英国防省は防衛インテリジェンスの報告として、ロシア軍にとって、クリミアとの陸上回廊の確立とウクライナ南部の支配という目標達成における重要な町となっているとの見方を示した。

4月27日、ヘルソン市では、住民たちが偽「住民投票」とロシア占領に反対する親ウクライナ集会を開催していた。

5月6日、タシェヴァ・クリミア自治共和国ウクライナ大統領常駐代表は、ロシア占領者は、ウクライナ南部の新たに占領した領土をクリミアに併合させてあらたな行政区を作る可能性を含め、占領地統治に関する複数の案を検討していると指摘していた。

ヘルソン州議会のソボレウシキー副議長は5月11日、占領者や共謀者によるヘルソン州地位に関するいかなる行動も法的に無意味であるとコメントした。

写真:チュバロフ・メジュリス代表(フェイスブック)