国連総会、ウクライナの一時的被占領地の人権侵害に関する決議を採択 日本も賛成
国連総会は18日、決議「クリミア自治共和国及びセヴァストーポリ市を含む、ウクライナの一時的被占領地における人権状況」を採択した。
賛成は79か国、反対は16か国、棄権は73か国。日本は賛成票を投じた。ニューヨークのウクルインフォルム特派員が伝えた。
反対した16か国は、ロシア、ベラルーシ、北朝鮮、中国、イラン、ブルキナファソ、エリトリア、スーダン、マリ、ジンバブエ、ブルンジ、中央アフリカ、コンゴ、赤道ギニア、クバ、ニカラグア。
本決議は、ウクライナ領の内、ロシアによって一時的被占領下にある全ての地域における人権状況を対象とするものであり、ロシア占領当局が現地住民に対して行っている体系的な侵害行為への監視の強化を確保する内容となっている。
決議には、ロシア連邦による対ウクライナ侵略戦争に対する明確な非難が含まれており、国際的に認められた国境内におけるウクライナの主権と領土一体性を再確認するとともに、ウクライナ領土の地位を変更しようとするいかなる試みも認めないことを強調している。決議は、ロシアに対し、直ちに侵略を停止し、ウクライナ領土から全ての軍隊を撤退させるよう要求している。
同時に決議では、被占領地の軍事化、住民のロシア連邦軍への強制動員、記者や人権保護活動家、市民社会代表者への迫害、クリミアをはじめとする各地での文化遺産の破壊に対して深刻な懸念が表明されている。
今年の決議は、ウクライナ人捕虜や違法に拘束されている民間人が受けている拷問、非人道的な扱い、その他の重大な人権侵害を直接非難する新たな文言が加えられている。決議は、被占領地域及びロシア国内の両方における強制失踪や拷問の事実を裏付ける、ロシアの犯罪に関する独立国際調査委員会の結論に基づいている。
また、決議では、拉致された、または校則されたウクライナ人の状況や所在に関する情報の提供をロシア当局が体系的に拒否していることも非難されており、ロシアに対し、これらの情報を直ちに開示することが要求されている。
とりわけ、決議は、ロシアに対し、赤十字国際委員会(ICRC)を含む国際メカニズムがウクライナの捕虜や民間人の拘束されている場所に妨害なくアクセスできるようにすること、適切な医療支援を保証すること、捕虜の完全な交換を実施すること、そして違法に拘束されているすべての者(クリミア・タタール人、民間人、政治囚、記者)を解放するよう求めている。
決議は、紛争に関連した性的暴力の犯罪により、ロシアが、いわゆる「恥のリスト」に含まれる可能性があるという国連事務総長の警告を喚起している。
さらに決議は、ロシアが、ウクライナ児童の殺害や身体切断、そしてウクライナの教育・医療施設への攻撃を行っており、「悪質な侵害者」としてすでに3年連続で同様のリストに掲載されていることを指摘している。
なお、クリミアの人権状況に関する国連総会決議は2016年から毎年採択されてきたもので、新たに採択される度に新しい規定や表現が足されてきた。2023年からは、同決議はクリミアだけでなく、ウクライナの全ての被占領地を対象としている。