プーチンを軍事的に停戦に近付けるのは難しいが、経済的には可能=メルツ独首相
ドイツのメルツ首相は、ロシアの首脳プーチン氏は現在戦争の終結に関心がないとしつつ、軍事的に停戦や和平を強制することは難しいが、経済的手段では可能だと発言した。
メルツ首相がSAT.1局とのインタビュー時に発言した。
メルツ氏は、「彼(プーチン氏)は戦争犯罪者だ。それはもしかしたら、私たちがこれほどの規模で目にする、現代における最も残虐な戦争だろう。私たちは、戦争犯罪者とどのように振る舞うべきかを明確に理解しておく必要がある。その点に譲歩の余地はない」と指摘した。
また同氏は、プーチン氏のどのような発言も信用するための根拠がないと述べた。そして同氏は、プーチン氏は「利益を見出した時にのみ」交渉に応じるだろうと評価しつつ、現時点では、戦争を継続することがプーチン氏にあらゆるメリットをもたらしていると指摘した。その際同氏は具体的に、プーチン氏はウクライナで領土を制圧しており、欧州や米国でのあらゆる議論を見ており、トランプ米大統領や他の世界の指導者たちが自身とどのように接するかを見ているとし、特に中国で開かれた首脳会議に言及した。
そしてメルツ氏は、「現時点では、彼(プーチン氏)には停戦に近付く、ましてや和平協定に向かう理由が全くない。私たちがその理由を作り出す必要があるのだ。軍事的な手段では難しいだろう。しかし、経済的にはそれは可能だ。ロシアがこれ以上軍事経済を維持できないように取り組む必要がある。それはつまり、私たちが達成すべき経済的な疲弊であり、例えば、まだロシアと積極的に取引している者たちへの関税を通じたものだ。そして、その点で私たちは再び米国に戻ることになる」と述べた。
記者からの、停戦が達成された場合における、ドイツ軍兵士がその維持に参加する可能性についての質問に対し、メルツ氏は「少なくともドイツでは、そのような具体的な計画は存在しない」と繰り返し、一般的にそのようなことは、停戦後、そしてロシアがそれに同意した場合にのみ話すことができると述べた。
その際、メルツ氏はフォンデアライエン欧州委員会委員長(編集注:同じくキリスト教民主同盟出身)を間接的に非難し、「欧州連合(EU)側にもそれ(計画)はない。なぜならEUはそれを担っていないからだ」と指摘した。
その上で同氏は、「今、私たちは、ロシア侵略との戦いにおいてウクライナ軍を支援している。それが今私たちの行っていることであり、そして今も将来も、それがウクライナにとって最も重要な安全の保証なのだ。その他のことは全て、少なくとも停戦が達成された後にのみ議論できることだ。それまでは、ウクライナへの軍隊派遣は間違いなくない。そしてその後でさえ、私はこれをドイツ連邦共和国にとっての重大な問題として提起する。私は以前にも言ったが、それには連邦議会の同意が必要なのだ。ロシアとの合意がどうなるかを見なければならない。それはロシアに反対するものではなく、ロシアと共にあるものでしかあり得ない。つまり、私たちの前にはまだ多くの障害があり、おそらく非常に長い道のりとなるだろう」と述べた。
その他同氏は、毎日ロシアからのハイブリッド攻撃に直面しているドイツ自身の安全保障の状況を懸念していると述べた。
同氏はその際、「私たちはロシアからの深刻な安全保障上の脅威を有している。それは破壊工作、サイバー攻撃、海底ケーブルの損傷、その他多くのことだ。どうやってそれらの脅威に対抗するかが今、私の主要な懸念である。他のことは全て、未来についての推測に過ぎない。そして繰り返すが、もし停戦や和平協定が実現するとすれば、それはロシアの参加があって初めて可能になるのであり、ロシア抜きではあり得ない」と強調した。