ロシアが食糧危機を悪化させ始めたのは9月=ゼレンシキー宇大統領、露の穀物合意離脱受け

29日、ロシアが黒海に設定した穀物回廊を通じた農産物輸出の合意からの離脱を発表したことを受け、ウクライナのゼレンシキー大統領は、ロシアは9月の時点ですでに、農作物を載せた貨物船の航行を妨害することで食糧危機を意図的に悪化させ始めていたと指摘した。

ゼレンシキー宇大統領が29日夜の動画メッセージの際に発言した

ゼレンシキー氏は、「今日、ロシアから、かなり予想されていた声明が聞かれた。彼らが穀物輸出イニシアティブを最終的に破棄するという声明だ。しかし、実際には、それは彼らの今日の決定ではない。ロシアは、9月の時点には、私たちの食糧を載せた船の動きを妨害することで食糧危機を意図的に悪化させ始めていた。9月から今日までに、穀物回廊にて、ルートを通ることができないでいる船はすでに176隻ある。いくつかの穀物貨物船は、すでに3週間にわたって待ち続けている。それは、ロシアによる全くの意図的な妨害だ。それは、ロシアによる、アフリカやアジアへ大規模飢餓の脅威を戻す完全に明白な意図である」と発言した。

同氏はまた、現時点で、200万トン以上の食糧を載せた船が海上で移動できなくなっているとし、それは700万人以上の消費者にとって、食糧へのアクセス状況が悪化することを意味すると指摘した。

さらに同氏は、「それはアルジェリア、エジプト、イエメン、バングラデシュ、ベトナム、その他の世界各地の非常に様々な国々だ。(中略)しかし、それらの国皆が同様に、ロシアの輸出妨害の決定によって、不安定化させられるのだ。私は、そのロシアの決定は、9月に採択されたことを強調する。海上の食糧を載せた船の行列がそれを証明し得る」と強調した。

その他同氏は、7月に発効した穀物回廊合意の期間に、ロシアが少なくとも2回、同回廊の安全を保証する任務に当たっていたウクライナ海軍を攻撃したことを喚起した。その上で同氏は、現在国連レベルでも、G20をはじめとするその他のレベルでも厳しい対応が必要だと指摘した。

同氏は、「ロシアが複数の大陸での飢餓を意図的に引き起こすために活動している中で、同国がどうやったらG20の中にいられるだろうか。それはナンセンスだ。G20にロシアの居場所はない。全てのパートナー国がその人為的な船の行列を目にしている。ロシアが穀物イニシアティブを破綻させるために行ってきたことを見ている。国連世界食糧計画(WFP)が最貧国のために契約した穀物を載せた船が、海路通行の保証された機会を得られていない。ロシアは、何百万人のアフリカの人々、何百万人の中近東や南アジアの住民たちを、人為的飢餓の状況に追いやる、あるいは少なくとも厳しい価格危機においやるべく、あらゆることを行っている」と強調した。

これに先立ち、ロシアは、ウクライナと英国が「穀物回廊の安全の保証のために活動していた黒海艦隊艦船や民間船舶に対するテロ」を行ったと主張した上で、7月から続いていた穀物回廊合意からの離脱を発表していた。

写真:大統領府