G7外相、ロシアによる対ウクライナ戦争に関する声明採択

14日、G7外相は、ロシア連邦による対ウクライナ戦争に関し、ロシアが速やかにウクライナ領から軍を撤退することを要請するとともに、クリミアを含むウクライナの主権と領土一体性を支持することを確認した。

日本外務省が声明「ロシアによるウクライナに対する戦争に関するG7外相声明」の日本語仮訳を公表した

外相たちは、「ロシアの不当な、いわれのない、不法な、ベラルーシが加担している侵略戦争から自らを守るウクライナとの我々の連帯及び支持を堅持」すると表明し、ウクライナが「その主権と領土の一体性を堅持し、自国を防衛し、将来の攻撃や威圧に抵抗し、自らの未来を選択し、繁栄するよう支援することにコミットしている」と強調した。

また、ウクライナの主権、領土の一体性、独立及び国連憲章の下での自衛権を強調するとともに、現在の侵略戦争により、我々は、主権と領土の一体性を侵害する、力によって国境を再画定しようとする公然の試みを拒絶するとの決意を再確認した。

外相たちはさらに、提供している人道支援と財政支援の実施につき指摘するとともに、その他の国々に対して、ウクライナへの支援に加わるよう呼びかけた。

また、G7は、「我々は、現在実施しているウクライナへの軍事・防衛支援を必要な限り継続する」と強調した。

ロシアに対しては、「自身が始めたいわれなき戦争に終止符を打ち、それが引き起こし続けている悲劇的な苦痛及び人命の喪失を終わらせることを改めて要求」した。また、国際人道法の完全順守、安全な人道アクセス、行き先の選択できる文民の人道的避難を可能とし、促進することを強く求めた。さらにロシアに対して、「2022年3月16日の国際司法裁判所の法的拘束力のある命令に直ちに従い、国連総会の関連決議を遵守して軍事的侵略を停止すること、すなわち、停戦し、ウクライナの国際的に認められた国境内の領土全域から直ちにかつ無条件で軍隊を撤退させることを」求めた。

外相たちは、ロシアが、国連憲章に違反しており、ヘルシンキ最終文書及びパリ憲章に記されている欧州の安全保障体系の基本原則を損なっており、その行動の報いを受けることになると強調し、「いかなる勢力圏の概念及び国際法に従わない武力の行使を拒否する。我々は、ロシアが軍事的侵略によって変更を試みた国境を決して認めず、クリミアを含むウクライナ及び全ての国家の主権及び領土の一体性を支持するための関与を堅持する」と伝えた。また、ロシアによる化学兵器、生物兵器、核兵器などの仕様についての威嚇を非難した。そして、「そうした兵器のいかなる使用も、厳しい報いを受けることとなる」ことを表明した。

さらに、声明では、ロシアの侵略戦争とウクライナの農産品輸出の制限が、世界の食糧安全保障に対する脅威に繋がっていることが指摘されており、ロシアに対して、ウクライナの港湾などの輸送インフラに対する攻撃の停止が求められている。

また、ロシアが世界に拡散し続ける偽情報に関しては、外相たちは、「ロシアがウクライナに対する侵略戦争を正当化し、支持させるために用い、進行中の戦争における自らの責任を覆い隠す目的で国内及び世界の世論を意図的に操作しようとする、ロシアの偽情報を含む情報操作及び干渉の方針を非難し、体系的に暴いていく」と強調した。その上で、特にG7即応メカニズムの中で対処するために強調を続けると伝えた。

加えて、外相たちは、ロシアによる民間人殺害、重要インフラや医療施設への攻撃、性的暴力を最も強い言葉で非難した上で、国際法違反に関する進行中の調査を引き続き支援すると表明した。

その他、外相たちは、ロシアへの制裁圧力の増強の決意を改めて確認し、「我々は、ロシアが特に依存している分野に制裁措置を広げていく」と強調した。

エネルギー関係では、外相たちは、「我々は、ロシアの石炭及び石油輸入を段階的に削減あるいは禁止するG7のコミットメントに基づき、ロシアによるエネルギー供給への依存を可能な限り早期に低減及び終了させる取組を速やかに進める」と表明した。

なお、G7外相たちは、14日に採択された外相コミュニケでも、ロシアによる対ウクライナ侵略戦争について言及しており、これについても日本外務省が仮訳を公表している