ゼレンシキー宇大統領、マリウポリ防衛軍人に撤退を許可するも、軍人が拒否したと説明

ウクライナのゼレンシキー大統領は、ロシア軍に包囲される中、防衛戦の続く東部マリウポリを防衛するウクライナ軍人と2日に1度はやりとりをしていると発言した。

ゼレンシキー大統領がロシアの報道機関へのインタビュー時に発言した

ゼレンシキー氏は、マリウポリを防衛するウクライナ軍人につき、「情報面の混乱がどうして起きているかについてだ。なぜなら、町中の彼ら(編集注:ロシア軍人)が入り込めるところに、彼ら、ロシア軍が入ったからだ。しかし、町の一部には彼らは入っていない。なぜなら、こちら側の若者たち(編集注:ウクライナ軍人)がいるからだ。(中略)また、その若者たちの親が私に呼びかけている。私は、その若者たちと話をしている」と述べ、2日に1回はマリウポリを守るウクライナ軍人と話していると説明した。

またゼレンシキー氏は、「私は、彼らに、全てわかっている、若者たちよ、私たちは必ず戻ってくる(編集注:撤退について話しているの意)と述べている。(中略)しかし、もしあなた方がそこにいなければいけないと感じているなら、そうするのが正しい、生き残れる、と感じているなら、そうすれば良い(と述べている)。私は、軍人にとってそれ(現状)がどう見えているか理解している。(中略)しかし、私は彼らに選択権を与えたのだ。彼らは、『私たちは(退却)できない。ここには負傷者がいる。私たちは負傷者を見捨てられない』と言った。さらに、彼らは、『私たちは殺された人を置いていけない』とも言った。だから彼らはその町を守っている。負傷者を、死者を守っている。彼らはその人たちを葬りたいのだ」と発言した。

その他同氏は、マリウポリには、道路に市民やロシア兵の死体が転がっている状態であり、誰もそれを片付けられていないと伝えた。また、同氏は、ウクライナ側はロシア側に、負傷者と死者を町から運び出せるように要請したが、ロシア側が拒否したと報告した。

なお、現在、ロシア侵略軍がウクライナ東部マリウポリを包囲し続けており、これにより同市の人道状況が著しく悪化している。ウクライナ側が激しく抵抗する中で、ロシア軍は民間施設を爆撃し、民間人に多くの被害を出しており、また民間人避難のための人道回廊の開設を妨害している。マリウポリ市議会は、3月14日時点で同市の民間人死者数は2357人に上ると発表している。

アレストヴィチ宇大統領府長官顧問は18日、現時点でロシア軍による東部マリウポリ市の包囲を解除することは不可能だとし、ウクライナ政権は政治・外交的手段の作業をしていると発言した。

ゼレンシキー大統領は22日、マリウポリ市には、まだ約10万人の住民が食べ物や水のない状態で残っていると伝えた。

写真:Stringer, Anadolu Agency