
「ロシアはトランプ氏に嘘をついている」=ゼレンシキー宇大統領
ゼレンシキー大統領がビルトとのインタビュー時に発言した。
ゼレンシキー氏は、「トランプ米大統領は、ロシア側が戦争に関して完全にはオープンではなく正直でないことを目にしている。私は、ロシアは単にトランプ氏に嘘をついていると思っている」と発言した。
最近のロシアの大規模攻撃の際に500機近くの無人機が使われたことについて、ウクライナの「蜘蛛の巣」作戦への復讐だとする予想について、ゼレンシキー氏はこれを否定した上で、「1日前に彼らは記録的な(数の)攻撃を行っていた」と喚起した(編集注:「蜘蛛の巣」作戦が実施される前となる5月31日から6月1日にかけての夜間、ロシア軍は472機の無人機と7弾のミサイルでウクライナを攻撃。400機以上の無人機が一度の攻撃で使用されたのはこの時が初めて)。
その際同氏は、ロシアのプーチン氏は「ウクライナをさらに攻撃するための理由を探している」だけだと強調し、「彼は単に戦争を終わらせたくないのだ」と指摘した。同氏はさらに、ロシア国民はプーチンの過激な政策を概して支持しているものの、それでもプーチンは社会における「憎悪の火」を維持する必要があり、そのためプーチンは復讐に見せかけて新しい攻撃を行っているのだと発言した。
記者からのロシア軍の進軍に関する発言に対して、ゼレンシキー氏は、それを「ロシアのナラティブ」だとし、ウクライナ軍はすでに約3週間にわたり敵の新しい攻勢を撃退していると述べた。そして同氏は、「控えめに言って、ロシア人はあまり成功していない」と指摘した。
同氏はまた、ロシアが平和を求めているという表現にも懐疑的な見方を示した上で、ロシアの本当の目的について「彼らにとって大切なのは、制裁が発動されないように、トランプ氏に対して、ウクライナとロシアの間に外交的な橋があると示すことだ」と指摘した。そして同氏は、プーチンは交渉を時間稼ぎと新しい制裁の回避のために利用しているとし、なぜならプーチンは「ほら、私たちは対話している、もし制裁を発動したら、対話は消滅するぞ」かのように言うことができるからだと説明した。さらに同氏は、ロシアは欧州と米国の参加なく対話をしたがっているとし、それはウクライナを孤立させるためだと指摘した。同氏は、「パートナーの支援のない長い戦争、それがプーチンにとって理想的な選択肢だ」と発言した。
その他同氏は、トランプ米大統領はプーチンの本当の願望を明確に理解しているとの確信を示した。また同氏は、プーチンは力のみを理解しているが、米国には力があるとも強調した。
同氏は加えて、米国が新しい対露制裁を発動したら、プーチンはすぐに「戦争終結について話そう」と言うだろうと指摘した。
同氏はその際、制裁政策に対する批判を退けた上で、制裁の主な問題は、緩慢な導入にあるとし、それによってロシアが適応する時間を得たことだと発言した。そして同氏は、「プーチンは、自国経済が苦しんでいると感じているが、それでもより多くの時間を稼ぎたいのだ」と指摘した上で、強力な対露制裁の即時発動を呼びかけた。
その他同氏は、人命の価値を強調した上で、「人は、私たちが火にくべる薪ではない。私たちはロシア人のような人の扱い方はしない」と述べた。そして同氏は、パートナー国からのより大きな支援があれば、ウクライナ国民の損耗が減るのだとし、米国と欧州がロシア侵略に対抗する上で結束し続けることへの期待を表明した。