「ウクライナの側に立つというドイツの立場に疑いがあってはならない」=メルツ独次期首相
メルツ氏がキリスト教民主同盟(CDU)のいわゆる小規模党大会の後に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。
メルツ氏は、「ロシアの対ウクライナ戦争は、その国の一体性だけを標的にしたものではない。それだけでも十分に悲劇的だが、その戦争は、欧州大陸の政治秩序全体も標的にしているのだ」と述べた上で、今後この挑戦に立ち向かう上での原則を3つ挙げた。
同氏は、第一に、ドイツはウクライナを支援することで、自らの自由と欧州の価値を守っていると発言し、そのため、ウクライナのロシア侵略に対する戦いは、ドイツの平和と自由の維持をめぐる戦いでもある、なぜならドイツもまたその戦争とロシアからの直接の脅威に晒されているからだと指摘した。その際同氏は、日々の工作、データや海底ケーブルの破壊、ドイツ国民を対象とした体系的な偽情報、また欧州の町々での毒殺・殺人について喚起した。
そして同氏は、「これらはロシア首脳陣とその協力者の手によるものである」と発言した。
同氏はまた、ドイツ分断や欧州諸国の不安定化、民主主義を揺るがす試みを含む、それらの行為全てから断固として身を守っていくと明言した。
加えて同氏は、「私たちは、私たちのウクライナ支援をウクライナ側に立つ欧州と米国の共通の努力だと理解している。私たちは戦争の当事者ではないし、当事者になりたいとは思っていない。しかし、私たちは同時に、関与していない第三者ではないし、双方の間の仲介者でもないのだ。私たちの立場については一切の疑いがあってはならない。一切の『もし』も『しかし』も抜きで、侵攻されたその国の側に立つ、それはつまり、民主主義と法の支配、自由と開かれた社会にコミットしている欧州の全ての人々の側に立つということである」と強調した。
また同氏は、「命令された和平」や「軍事で生み出された事実の押し付け」は受け入れられないと発言し、ウクライナ自身の意志に反することは何も起きてはならないと強調した。そして同氏は、欧州の全ての人がそれを同様に見ており、米国のパートナーたちも同様であることを期待していると述べた。
その他同氏は、26日にローマのサン・ピエトロ大聖堂で行われたウクライナ・米国首脳会談の後に、それがウクライナにおける真剣な和平プロセスの始まりとなるかもしれないという大きな希望が生じていると発言した。同時に同氏は、しかし翌日には状況が一変している可能性があるとも指摘した。
加えて同氏は、ドイツにおいて長年にわたって恒常的に防衛能力と「防衛のための心理的心構え」を拡大していく必要があると強調した。そして同氏は、それは米国が長らく正当な理由から期待しているというだけでなく、ドイツ国民自身の利益なのだと補足した。
なお、CDUは28日、連立合意を承認した。これは、保守政党と社会民主党が一緒に次期内閣を組閣する上での政策を定める文書となる。