「アフリカはロシアの始めた対ウクライナ戦争の人質となってしまった」=ゼレンシキー宇大統領のアフリカ連合への演説全文

「アフリカはロシアの始めた対ウクライナ戦争の人質となってしまった」=ゼレンシキー宇大統領のアフリカ連合への演説全文

ウクルインフォルム
ゼレンシキー宇大統領は20日、アフリカ連合総会事務局に対して演説を行い、世界の飢餓の脅威をなくすためには、ロシアによる侵略植民地主義政策への回帰の試みが止められねばならないと発言した。

ウクライナ大統領府がゼレンシキー大統領のアフリカ連合総会事務局に対する演説全文を公開した

ウクルインフォルムによる同演説の全訳仮訳は以下のとおり。


私は、あなた方に呼びかけるこの機会に感謝している。戦争が私たちのところで続いているという非常な状況下での呼びかけだ。世界中にとって非常な状況であり、アフリカは実質的に人質となっている。私たちの国に戦争を仕掛けた者たちに人質に取られているのだ。

そう、これは戦争である。ロシアのウクライナに対する戦争だ。しばしば言われるような「危機」でもなければ、「紛争」でもない。これは戦争である! 残酷な侵略戦争だ。ロシア軍が私たちの土地にやってきて、私たちの人々を屈服させようとしているのだ。

この戦争は、誰かにとっては、自分のところ、自分の国からはとても遠いことのように思えるかもしれない。しかし、災害的に上昇している食糧価格は、すでにアフリカの何百万という家族のところに届いてしまっている。アジア、欧州、南米の国々の多くの家族のところも同じだ。全ての大陸にて、ロシアによるいわれのない不正義の戦争により、食糧価格を痛みを持って感じているのだ。しかし、あなた方の国にとっては、残念ながら、特別な問題となり得るだろう。

私たちは、様々な要因を考慮せねばならない。アフリカ大陸の人口増、パンデミック後の経済回復の継続、多くの国における急騰した食料を購入するための国内財政における予備の不足。世界市場における物理的な不足の中、アフリカ大陸のいくつかの国にとっては必要な食糧供給を維持するのが特に困難となっている。

しかし、なぜ、いつこの問題が起きたのだろうか。

強調する。今年の2月23日には、そのような問題は存在していなかった。確かに、世界の一部では、馴染みのないインフレプロセスが生じていた。様々な国がCOVID-19による危機の中で経済を支えるために莫大な資金をすでに投じていたのだ。しかしながら、食糧不足のようなものは何もなかった。危機が始まったのは、ロシア艦船が黒海・アゾフ海のウクライナの港を封鎖した2月24日である。

海路が、私たちの国の農業分野にとって主要なルートである。ウクライナの農業輸出は、世界の食糧市場の安定基盤の一つであった。ウクライナは、小麦、ヒマワリ油、トウモロコシの主要供給国の一つである。

専門的試算では、世界の様々な国の合計約4億人の人々の生活が私たちの食糧の輸出で支えられているという。

もしロシアの対ウクライナ戦争がなければ、もし食糧市場に一切の不足がなければ、もしロシアの戦争がなければ、私たちの農家や農業企業は今年、記録的な収穫を得られたかもしれなかった。ロシアの戦争がなければ、アフリカ、アジア、世界のあらゆる場所の人々が、食糧価格の災害的上昇に苦しむことはなかった。その場合、災害的な価格の上昇は、ただただ生じることがなかったのだ。

この状況は、世界中の全てものがどれだけ結びついているかを示している。欧州の一つの戦争、具体的には、ロシアによる私たちの大地の奪取の試み、ウクライナをロシアの植民地に変える試みが、あらゆる場所で食糧へのアクセスを悪化させ、それが飢餓の脅威を高めることの原因となったのだ。

もちろん、私たちは防衛しているし、もちろん、この戦争に勝つまで、自らの独立を守っていく。そして、もちろん、私たちはもう今、新しい供給ロジスティックを築こうとしている。正に今、私たちは、従来からの消費者の待ち望む2500万トン以上の穀物を貯蔵施設に入れている。

私たちは、去年や今年の収穫物が消費者のもとに届くように、鉄道や、隣国の港を通じた輸出を調整している。

しかし、新しいルートで送ることができるのは、これまでよりはるかに少ない量である上に、はるかに長い時間を要す。それによって、供給ははるかに高くなってしまっている。

私たちは、ウクライナの港の封鎖が解除されるように、複雑な多面的協議を行っている。しかし、あなた方は、今のところ進展がないことを目にしているだろう。なぜなら、ロシアからの攻撃が再び行われないことを保証する現実的手段がまだ見つかっていないからだ。

そう、この植民地化戦争、ロシアの私たちの国に対する戦争が続き、私たちの港が封鎖されている限り、世界の食糧危機は続いてしまう。

ウクライナはまた、欧州の主要な肥料生産者の内の一国であった。現在、その生産は、またしても戦争によって、実質的に止まっている。製造業者の一部は、原材料を得られず、働くことができていない。ロシアのミサイル攻撃の脅威や、その他の戦争行為の被害によってである。企業の一部は、戦闘圏に位置しており、ロシア軍によって破壊されてしまっている。

あなた方は、あなた方が対話を続けているロシアのパートナーたちからこんな話を聞いただろうか? 彼らはあなた方にこのことについて話しただろうか? 彼らはあなた方に全く違う話をしているだろう。

しかし、実際には、彼らにはこの危機が必要なのだ。彼らは意図的に危機を激化させている。なぜなら、彼らは、対露制裁を発動した民主的国家に圧力をかけるために、あなた方、人々の苦しみを利用しようとしているからだ。

強調する。制裁政策は、ロシアによるウクライナを自らの奴隷に変える試みを止めることだけを目的としたものだ。

私たちは皆、現存の国際安全保障構造、国際機関が今のところ、この戦争を終わらせ、世界の安全を回復することを目的として、侵略国に影響力を行使できていないのを目にしている。

国連安全保障理事会は機能しただろうか? 否。さらに、あなた方の声、アフリカの声は、国連安全保障理事会で聞き入れられただろうか。完全には聞き入れられていない。しかし、グローバル化した現代では、世界はアフリカ抜きでは存在し得ないし、アフリカは世界との繋がり抜きでは存在し得ない。そして、アフリカ連合がアフリカ全ての人々の利益を守りながら、原則的な積極性を示しているのは正しいことなのだ。

同時に、あなた方の声は、全ての国際機構において、十分な重みを持って響くべきである。そして、もしそのために、何より国連安全保障理事会を改革すべきとなれば、つまり改革は必要なのだ。正にそのために、例えば、4月5日、私は、国連安全保障理事会への呼びかけにおいて、キーウにて、もちろん戦後、戦勝後に、国連のグローバル改革・変革会議を招集することを提案したのだ。

また私は、ウクライナの新たなアフリカ政策を開始した。私の任期の内に、初となるアフリカ諸国とウクライナの関係発展戦略が確定された。アフリカ大陸の全ての国との対話が活発となる。近々、アフリカ問題担当ウクライナ特別代表が活動を始める。

私は、共通の利益のために、私たちが完全に互いに理解し合い、仲介者なく連携することを期待している。そのような利益はある。2月24日以降、間違いなく。なぜなら、ウクライナと私たちの地域における安定に、あなた方の国の安定がかかっているからだ。

私の指示により、ウクライナ史上初となるウクライナ外相のサブサハラ・アフリカ外遊が準備されている。もちろん、私たちは議会間対話も発展させねばならない。そのために、私は、アフリカ諸国へのウクライナ最高会議(国会)代表者の訪問を主導している。

私は、あなた方を私たちの国に、今、招待する。私たちの二国間の繋がりを再開するためだ。私は、共通の願望である大政治経済会議「ウクライナ・アフリカ」の準備を始めることを提案する。

多くのアフリカ連合の国々では、ウクライナは経済と教育の分野でよく知られている。私たちの繋がりは、実際にはかなり長い。私たちの専門家は、あなたの国々でソ連時代に会社を創設していた。あなた方の学生は、私たちの大学で勉強していたし、今も勉強している。

私たちはいつも、アフリカ大陸の平和維持活動へも貢献してきた。2月24日までに、300人以上のウクライナの「ブルーヘルメット」たちが、6つの国連ミッションにて課題を遂行してきた。私たちの、国軍部隊、具体的には第18独立ヘリ分遣隊は、コンゴ民主共和国安定化ミッションにおける重要な一部を担っていた。

この長年存在した連携の基本の上に、私たちは新たな政治的歴史を築かねばならない。

私たちは、それを実現することができる。私たちを服従させ、私たちのリソースと大地を利用しようとしている他国が、私たちに対して脅威を人工的に作り出している。私たちは、その脅威から人々を解放させねばならない。

私たちの現在の第一の課題は、飢餓の脅威を取り除くことだ。21世紀にそのような脅威はあってはならない。ウクライナのおかげ、私たちの農業分野のおかげで、それは取り除ける。私たちは、あなた方の国一つ一つに食糧が満たされ、全ての消費者が満たされるよう、あらゆる不足を補い、全てを製造する。ロシアの戦争がなければ、あなた方は今、全く異なる状況、完全なる安全な状況下にあったはずだ。だからこそ、飢餓をなくすために、ロシアのような国による、侵略植民地主義政策への回帰の試みを終わらせねばならないのだ。

帝国の時代は去った! 人々は生きる権利を有している。生きて、生活のためのあらゆるものを有す権利をだ。

あなた方へのこの呼びかけの機会に感謝している。注意を向けてくれどうもありがとう。ウクライナに栄光あれ!

写真:大統領府


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