国連安保理でウクライナ情勢会合開催 ウクライナが国境情勢説明 欧米が露を非難

国連安保理でウクライナ情勢会合開催 ウクライナが国境情勢説明 欧米が露を非難

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ウクルインフォルム
1月31日、ロシアによるウクライナ周辺の軍の集結により緊張する情勢を受けて、国連安全保障理事会会合が米国の提案により開催された。ウクライナのキスリツャ国連大使は、ロシアの言葉は信じることができず、軍の集結というその行動で判断しなければならないと発言した。

ウクルインフォルムのニューヨーク特派員が伝えた

キスリツャ・ウクライナ大使は、現在ウクライナ国境沿いと被占領下クリミアのロシア軍は11万2000名の兵力を集結させており、これに海軍・空軍を加えると、兵力は13万人に達すると発言した。また、大使は、ロシア軍は、2月10〜20日の軍事演習参加のためにベラルーシにも軍を派遣していることを喚起した。さらに大使は、黒海海上でも、ロシアの黒海艦隊が1月26日から演習を始めたことを伝えた。

さらに、大使は、ウクライナ東部のロシア占領軍の戦闘能力が著しく強化されていることも懸念であるとし、ロシア占領軍の兵力は3万5000人であるとし、またその内の約3000人がロシア軍の軍人であり、司令部やその他の重要戦闘地点に配備されていると説明した。

その他大使は、昨年12月22日にロシア、ウクライナ、欧州安全保障協力機構(OSCE)からなる三者コンタクト・グループ(TCG)にて停戦体制の回復に関する合意に至ったが、敵による砲撃や狙撃銃による攻撃、体系的な無人機の利用が止んでおらず、ウクライナ軍人に死傷者が出ていると指摘した。

キスリツャ大使は、ロシアによる偽情報の拡散についても言及し、特に「ウクライナが軍事進攻を準備している」かのような偽情報が目立つことを指摘した。その上で大使は、「そのようなことは起きない。それ(偽情報)は、ロシアが緊張緩和を行いたがっていないこと、あり得る更なる侵攻を正当化しようとしていることを示している」と主張した。

大使は、ウクライナは、要求を飲ませるための圧力として、力を行使するロシアの試みを断固として否定するとし、「原則的問題に譲歩の余地はない。ウクライナにとって、最も原則的な立場は、私たちには、同盟に関する合意を含む、自らの安全保障方策を選ぶ主権的権利があるということだ」と強調した。

さらに、大使は、ウクライナは、ロシアとの外交チャンネル維持を支持しているとし、ゼレンシキー・ウクライナ大統領が最近、ロシア大統領と会う準備があると発言したことを喚起した。大使は、「ロシアに何かしらウクライナへの質問があるなら、軍をウクライナ国境に寄せてウクライナの人々を脅かすのではなく、会って話した方が良い」と発言した。

トーマス=グリーンフィールド米国連大使は、国連安全保障理事会は、ウクライナが現在突きつけられているような脅威の平和的解決のために作られたものだとし、紛争への対応だけでなく、その予防も目的だと指摘した。米大使は、ロシアの行為は、ウクライナと欧州全体、現在の世界秩序への脅威を生み出しているとし、「ロシアの行為は、国連憲章の心へのダメージである。それは、明確かつ一貫した平和への脅威だ」と強調した。

米大使は、ロシアに対して、紛争ではなく、外交の道を選ぶよう呼びかけ、またロシアの対ウクライナ侵略にて、約1万4000人の人々が亡くなったこと、300万人が人道支援を必要としていることを喚起した。

さらに米大使は、「最近、ロシアは、自らの要求が飲まれないのであれば、軍事行動へ意向するとして脅している。ウクライナへの侵攻が生じた場合、私たちは誰も、予想してなかったとは言うことができない。結果は最悪なものとなる。そのため、今日の会合は非常に重要なのだ」と強調した。

ネベンジャ・ロシア国連大使は、ロシアには軍事侵攻の意図はなく、緊張はむしろ欧米側が高めていると主張した。

これに対して、カリウキ英国連大使は、ロシアがウクライナ周辺に展開している軍につき「通常の展開ではなく、過去数十年、欧州で最大の軍集結だ」と指摘した。

カリウキ英大使は、「ロシアが外交的解決の模索を求めるなら、英国は建設的対話を行う決意がある」としつつ、「ロシアのウクライナに対するいかなる侵攻あるいは攻撃も、国際法とロシアの国連憲章に従った義務への深刻な違反となる」と強調した。

ポーランドのシチェルスキ国連大使は、現在のウクライナ周辺地域の緊張は、ロシアの侵略が様々な場所で作り出してきた過去の事例の延長線上にある、規則性のあるものだとし、モルドバ領トランスニストリアの紛争、ロシアの対ジョージア戦争、クリミア併合、ウクライナ東部侵略を喚起した。大使は、これは、それは地域の安定と安全を弱体化しているとし、ロシアの行為は国連憲章の根本的原則への著しい違反だと指摘した。

なお、今回の会合は、米国が提案し、賛成10、反対に2で開催が決定したもの。反対したのはロシアと中国。

張軍中国大使は、反対の理由につき、「関心のある双方が対話と協議によって対立の解決を求めるべきである、私たちが必要なのは現在、メガホン外交ではなく、静寂である」と発言した。大使は、中国は本件を安全保障理事会で協議する必要がないと考えているとし、米国をはじめとする西側諸国はロシアが戦争の準備をしていると同国を非難しているが、ロシアはそのような意図はないと主張、ウクライナも戦争は必要ないと述べていると指摘した上で、「このような状況で、彼らはなぜ戦争が起きると主張しているのだろうか」と発言した。


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