中国投資家等によるモトール・シーチ社「株主総会」、保安庁が阻止 投資家側は抗議

中国投資家等によるモトール・シーチ社「株主総会」、保安庁が阻止 投資家側は抗議

写真
ウクルインフォルム
1月31日、ザポリッジャ市にて予定されていた、航空用エンジン製造企業モトール・シーチ社の中国投資家やウクライナの実業家による「臨時株主総会」は、ウクライナの保安庁(SBU)特殊部隊が捜査を実施したことにより開催が阻止された。

ウクルインフォルムの記者が伝えた。

「株主総会」は、ザポリッジャ市のピウデンネ通り8にて、開催されることが発表されていた。朝8時、数十人のモトール・シーチ職員が建物前に集まり、「法はモトール側にある」「乗っ取りは許さない」などと書かれたプラカードを掲げ、「株主総会」の開催に抗議を始めた。

モトール・シーチ社職員、同社幹部交代の試みに反対して抗議 写真:ドミトロー・スモリイェンコ/ウクルインフォルム

同社職員たちは、今回の「株主総会」開催に関する報告を一切受け取っておらず、インターネット上で開催について知ったと伝えた。

同社の株主であるヴィクトリヤさんは、「私たちの憲章には、株主は月に一回の総会につき文書を受け取ることが定められている。総会はいつも企業の社屋、総会室で行われてきた。さらに、株主登録は非公開である。彼らは、株主が誰かを知らずに、どのように総会が開けるというのだ」とし、今回の「臨時株主総会」の開催の試みを批判した。

現場には、50名の警察官と200名の国家警護隊隊員が配置されていた。その後、9時30分には、最高会議(国会)の与党「人民奉仕者党」議員が複数名現場に訪れた。

アルセニー・プシュカレンコ人民奉仕者党議員は、「モトール・シーチ社従業員一同から私たちに要請があったのだ。大統領令により国家安全保障国防会議(NSDC)の制裁が発動されている(編集注:モトール・シーチ社の中国投資家・企業に対する制裁)。私たちは、自分の権限の範囲でコントロールを行うためにここに来た。ここで国家に対する犯罪が行われないようにするためだ。制裁の科された行事がここで行われるとの情報がある。そうであれば、SBUを呼ばねばならない」と発言した。その他、現場を訪れた最高会議議員(いずれも与党)はユリヤ・ヤツィク氏、マクシム・パシュコウシキー氏、イェウヘン・シェウチェンコ氏、アルテム・クナイェウ氏、ヘンナジー・カサイ氏。

その後、SBUの特殊部隊隊員が現場へ訪れた。彼らは、「総会開催」の建物の扉の前にて「捜査行為である。開けなさい。あなた方が開けないなら、私たちは強制的に開けることになる」と述べて扉を叩いた。扉の一つは開けられたが、もう一つはSBUにより強制的に開けられた。

モトール・シーチ代表者によれば、同日の「株主総会」は開催されなかったとのこと。

SBUは同日、本件につき公式ウェブサイト上にて発表を行なった。発表には、「治安機関は、DCH社とスカイライゾン・エアクラフト・ホールディング社の代表者による、モトール・シーチ社のコントロール確立に関連する違法行為の可能性を確認している」とあり、刑事捜査の一環で、防衛・戦略的重要な意義を持つ同社の製造能力の無力化の準備が行われていたことを記録していると書かれている。

SBUは、「刑法典第14条1項、第113条に従った刑事捜査の一環で行われた捜査行為の結果、オレクサンドル・ヤロスラウシキー氏のビジネス・グループと中華人民共和国籍ザポリッジャの航空機建設企業モトール・シーチ社に対する、王靖(Wang Jing)氏のコントロール化にある企業による乗っ取りの試みが阻止された」と伝えた。SBUは、具体的に、NSDCにより発動された制裁に反するスカイライゾン・エアクラフト・ホールディング社代表者によるモトール・シーチ社「株主総会」の開催が阻止されたと指摘し、同「総会」がモトール・シーチ社の理事会・監査会の交代を通じた同社のコントロール確立、その後、同社の資産と航空機エンジン製造技術をウクライナ国外に持ち出すことを目的としていたと説明した。

他方、「総会」開催を試みたビジネス・グループDCHは、広報室を通じて今回の一連の出来事につきコメントを発表した

DCH社は、「ウクライナ国家は、責任ある政権機関の名の下、モトール・シーチ社の中国投資家に対して制限措置・制裁を科す決定を採択した。DCHグループは、モトール・シーチ社の運命決定に参加する前に、状況を深く分析してきた。複数の先進的法律会社が、私たちの要請を受けて、互いに独立して独自監査を実施し、専門的な結論を出していた。彼らの結論は一つ、中国の投資家は、彼らが獲得したモトール・シーチ社の株式の公正な購入者であり、合法的な所有者であるというものだ。そのため、制裁発動は、私たちにとって驚きであった。私たちには、そのような決定の動機が不明である。ウクライナ大統領令の本文には、動機は書かれておらず、わかることは、それをSBUが主導したということだけだ」と主張した。

同社は、国家にそのような方策をとる権利があることは認めつつ、「しかしながら、2021年1月31日に定められていた臨時株主総会の直前に制裁が科されたという事実には注意を向けずにはいられない。その制裁の目的は、その総会の開催を禁止することであった可能性がある。総会の結果、モトール・シーチ社の中国籍株主の合法的権限の回復が行われる可能性があった。ウクライナの制裁リストに加えられた第一の中国企業であるスカイライゾン社が負った種々の被害の評価は、専門家が下すことになる」と強調した。

同時に同社は、モトール・シーチ社の株式を有す中国の投資家たちは、自らの正当性を確信しており、自らの権利と利益を防衛し続けると伝え、「今後のDCH社の行動は全て、ウクライナの航空建設発展への私たちの関心を考慮しつつ、法的空間にて展開されていく」と指摘した。

加えて、ウクライナの制裁対象となった中国スカイライゾン社は、公式声明にて、モトール・シーチ社の中国籍株主に対する制裁は、取り返しのつかない甚大な損害を生み出すことになると指摘した

スカイライゾン社は、「制裁の発効後、モトール・シーチ社株主であるスカイライゾン社は、自らの合法的権利と義務を違法に剥奪されるとともに、ウクライナのモトール・シーチ社との一般的ビジネス上の関係を破棄せざるを得なくなり、それにより取り返しのつかない甚大な損害が生じる。ウクライナ国家からのそのような行為は、野蛮な強盗であり、国外で活動する中国企業の法的権利・利益の深刻な侵害であり、国際交易の原則とルールに対する比類ない不敬であり、さらには『ウクライナ中華人民共和国政府間相互投資促進保護協定』の関連条項に対する深刻な違反でもある」と強調した。

同社は、自らの合法的権利・利益の断固とした防衛のために、あらゆる可能な法的手段を利用していくと発表した。

これに先立ち、ウクライナは、1月28日付、大統領令により、航空機用エンジン製造企業「モトール・シーチ」社への投資に関わる中国国籍のビジネスマン王靖(Wang Jing)氏と、中国スカイライゾン社に制裁を発動していた

2019年11月末、アイヴァラス・アブロマヴィチュス国営防衛企業(複合体)ウクルオボロンプロム社(当時)総裁は、中国スカイリゾン社がすでにモトール・シーチ社の株式を50%以上獲得していると発言。また、2019年12月13日、ヴヤチェスラウ・ボフスラウ・モトール・シーチ社名誉総裁は、記者団に対して、同社の株式を中国に売却したことを認めていた。

しかし、モトール・シーチ社の売却に関しては、米国政権が反対を表明。2019年8月、ジョン・ボルトン米大統領補佐官(当時)は、キーウ(キエフ)訪問時、「私たちは、一般的に、中国側が、とりわけ米国で行っている、不正義かつ不公正な慣習についての警告と懸念を(ウクライナ政権側に)伝えた」と述べている。ボルトン氏は、その際、懸念の理由として、軍事技術の窃取を指摘している。

2020年9月4日、中国のモトール・シーチの株主たちは、ウクライナ司法省に対して、クレームを提出している。同文書では、35億ドル規模の損失について、ウクライナを国際調停裁判所にて提訴する意向が示されていた。

2021年1月15日、米商務省は、中国のスカイライゾン社に対して制裁を発動。ウィルバー・ロス商務長官は、その際、スカイライゾン社は中国側が主張するような民間企業ではなく、国営企業であり、中国側の「外国の軍事技術獲得・合法化の試みは、米国の国家安全保障と外政利益に重大な脅威を生み出している」と指摘、「その行為(編集注:制裁)は、スカイライゾン社と中国人民解放軍との直接のつながりに関係する輸出者への警告になるもの」と説明していた。

その後、中国スカイライゾン社は、1月31日に航空機用エンジン製造企業「モトール・シーチ」社の臨時株主総会を開催すると発表していた。


Let’s get started read our news at facebook messenger > > > Click here for subscribe

トピック

ウクルインフォルム

インターネット上の全ての掲載物の引用・使用に際しては、検索システムに対してオープンであり、ukrinform.jpの第一段落より上部へのハイパーリンクが義務付けてられています。また、外国報道機関の記事の翻訳を引用する場合は、ukrinform.jp及びその外国報道機関のウェブサイトにハイパーリンクを貼り付ける場合のみ可能です。「宣伝」のマークあるいは免責事項のある記事については、該当記事は1996年7月3日付第270/96-BPウクライナ法「宣伝」法第9条3項及び2023年3月31日付第2849ー9ウクライナ法「メディア」の該当部分に従った上で、合意/会計を根拠に掲載されています。

© 2015-2024 Ukrinform. All rights reserved.

Website design Studio Laconica

詳細検索詳細検索を隠す
期間別:
-