
ゼレンシキー大統領、フォーキン三者協議ウクライナ第一副代表を解任
大統領府は、9月30日付の関連大統領令第414/2020と、フォーキン氏の発言をめぐるゼレンシキー大統領の立場を掲載した。
発表には、「ゼレンシキー大統領は、TCGへ参加するウクライナ代表団の問題に関する大統領令に署名した。この大統領令により、ヴィトリド・フォーキン氏はTCGウクライナ代表団から除名され、第一副代表の職務権限が執行できなくなる」と書かれている。
更に大統領府は、ゼレンシキー大統領にとって原則的に重要なことは、国家の名において職務を執行する者全員が自らの活動や発言の際に、ウクライナの国益のもとに公正に行動することであると伝えた。
とりわけ、ゼレンシキー大統領は、フォーキン氏は何よりロシアによるクリミア、セヴァストーポリ、ドネツィク・ルハンシク両州一部地域の一時的占領についての公正な評価を拒否したと指摘した。
大統領府は、「国家を代表するということは、それがどんなランクであれ、自らの視点や野心のためのチャンスとはならない。それは、国家の立場、ウクライナの人々の利益を実現するという無条件の義務なのだ」と強調した。
同時に、TCGウクライナ代表団は、一時的被占領下ウクライナ領をロシアが完全に支配しているという明確な理解にもとづいて、引き続き作業を続けると書かれている。
また大統領府は、TCGウクライナ代表団の主要な目的は、ウクライナの条件のもとでの全ての一時的被占領地、ウクライナ国民の返還と、平和の確立だと指摘した。
その上で大統領府は、「一時的被占領地における占領政権機関の存在、完全な安全の不在に目をつむったまま、その地の状況を平和と呼ぶことは不可能だと強調する。ウクライナから全ての違法武装集団、彼らの軍事兵器が撤退した上で、完全な脱占領を実施し、ロシアとの間の国境のコントロールをウクライナが取り返さなければならない。それのみが、真の平和への道となり得るのだ」と説明した。
これに先立ち、フォーキン氏は、最高会議の委員会会合に出席した際、「ウクライナとロシアの間で戦争が行われているということを確認するものは、今のところ私は目にしていない」と発言していた。また同氏は、ドンバス地方において全ての人を恩赦とすべきとの発言を繰り返していた。このフォーキン氏の発言には、ウクライナの政権内外から批判が出ていた。
なお、ヴィトリド・フォーキン氏は、独立ウクライナにて初代首相(1990〜92年)を務めた人物。2020年7月30日にゼレンシキー大統領が同氏をTCGウクライナ第一副代表に任命している。なお、大統領はその際、レオニード・クラウチューク初代ウクライナ大統領をTCGウクライナ代表に任命していた。