ロシアの若者はメッセンジャー「マックス」の利用を望んでいない=ウクライナ専門家

ウクライナのIT・インターネット分野の専門家ユーリー・アントシチューク氏は、ロシアの若者は官製メッセンジャー「マックス(MAX)」の利用を望んでおらず、このメッセンジャーの名称は、若者たちの間で侮辱を意味する流行語となっていると指摘した。

アントシチューク氏がフェイスブック・アカウントで指摘した

アントシチューク氏は、「若者(生徒、学生)は主に『マックス』を嫌悪しており、それをクリンジ(痛々しい)、『チクリ魔』、押し付けられた国家のゴミだとみなしている。『マックス』という言葉による『何だお前、マックスかよ?』という表現は、『お前は時代遅れ/空気が読めていない/チクリ魔』を意味する侮辱のミームになった」と説明した。

また同氏は、若者は「マックス」の利用を望んでおらず、ロシア発ソーシャルメディア「VK(フコンタクテ)」にも満足していないと指摘した。

同氏はさらに、「マックス」では簡単に自分用の公開チャンネルを作成することはできず、ロシア検閲当局への登録が必要となっていると伝えた。同氏は加えて、「ロシア人は、同意なしにソロヴィヨフ(編集注:ロシアの著名プロパガンディスト)のチャンネル(やその他のZプロパガンダ・チャンネル)に自動的に登録されることへの苦情も相次いでいる。技術的に解除が不可能となっており、ボタンが作動しないか、解除しても登録が復活するか、あるいは消えない」と報告した。

また同氏は、現在ロシアでは全ての新しいスマートフォンやタブレットに「マックス」が購入時に最初からインストールされているとし、公的機関や学校でのやり取りではその使用が義務付けられていると説明した。

その他同氏は、ロシア人は、「マックス」では説明なくアカウントが停止されることがよくあるとの苦情が出ているとし、特にSIMカードの変更後やパスワード設定後に発生しやすく、また何の前触れもなく急に停止されることもあると伝えた。その際のアクセスの復旧は困難で、カスタマーサポートに連絡しても、回答は定型文のみか、数週間放置されるという。家族全員のアカウントが同時に停止されることもあるとし、その理由はスパム、他者からの通報、「疑わしい活動」などとされるという。

そのため、現在ロシアの若者たちは、中古の安いアンドロイド端末を購入し、個人データや写真、銀行アプリなどを入れずに「マックス」と必要な国家サービスのみをインストールして対策しているという。その場合、メインで使用する端末とは同期させないという。

さらに、追跡やスパイウェアの権限、バックグラウンド活動、VPNチェックなどを無効化したカスタム版が導入されているという。

「空」のアプリや、「マックス」のアイコンを模しているだで開けない、あるいはエラーを表示するアプリをインストールしたり、アイコンを書き換えて、「マックス」がインストールされているように見せかけたりしているという。

学校の生徒たちはTikTokでフラッシュモブを行い、「マックス」という名称を逆から読むと「SCAM(詐欺)」になると揶揄しているという。

そして同氏は、ロシアに占領される一時的被占領下ウクライナ領で暮らすウクライナ国民たちは、優先的に「マックス」を導入させられているため、さらに強い強制に晒されていると指摘した。

これに先立ち、被占領下ウクライナ領で活動するパルチザン運動「黄色いリボン」は昨年9月、被占領下にあるウクライナ領のヘルソン州とクリミアの間を行き来する者は皆、検問地点でロシア製メッセンジャーアプリ「マックス」をスマートフォンにインストールすることを「執拗に勧告される」と報告していた