ウクルインフォルム、報道機関監視団体作成の「透明で責任あるメディア」リスト入り
ウクライナのオンライン報道機関の継続的な監視を行っている「マス情報研究所」(IMI)は16日、2025年下半期におけるウクライナの「透明で責任あるメディア」(通称「ホワイトリスト」)17社を発表した。国営メディア「ウクルインフォルム」も同リストに加えられた。
IMIが透明性、責任、報道基準の遵守、広告記事の明確な表記といった評価項目に基づき作成した「ホワイトリスト」入りのメディア一覧を発表した。
IMIは、「『ホワイトリスト』としても私られる透明で責任あるメディアのリストには、2025年下半期、以下のオンラインメディアが入った」として、以下の17社を発表した。
・バーベリ
・LB
・ルブリカ
またIMIは、この評価は、オンラインメディアの2段階モニタリングの結果だとし、評価基準は「透明性」「責任」「報道基準の遵守」「広告記事の明確な表記」を含むと説明している。
さらにIMIは今回、「ホワイトリスト」には、LB(社会・政治情勢の報道に特化)、フロントライナー(ロシア・ウクライナ戦争報道、ルポ、軍人や民間人に関する記事)、ノヴィナルニャ(戦争、軍人、退役軍人、避難民問題を報道)、ルブリカ(ソリューション・ジャーナリズム・メディア)が初めて加わったと伝えている。
加えてIMIは、「長期の空白を経て、『ウクルインフォルム』がホワイトリストに復帰した。同社は、情報のバランスの遵守を改善し、読者に対する責任ある姿勢を示した」と報告した。
調査方法については、調査の第1段階は過去のIMIによるモニタリングデータやSimilarWeb、Gemiusのデータに基づいて選定された、ウクライナで人気のあるオンラインメディア50媒体を対象に、印象操作、偽情報、ネガティブ・キャンペーン(ブラックPR)の有無が評価されたと説明されている。
そして、この第1段階を通過したメディアを対象とした第2段階では、見解のバランス、正確性、事実と意見の分離といった基準、隠された広告、セクシズム、ヘイトスピーチ、有害なコンテンツの有無、透明性(サイト上での連絡先の明示、編集方針の公開、メディア所有関係の透明性)基準で調査が行われたという。
この調査の結果、「ホワイトリスト」入りしたメディアの専門的基準の遵守レベルは、平均して約96%に達したという。これら17のメディアのウェブサイト上の主要ニュースフィードからは、隠れた広告(ただし、不適切な表記の記事は一部見られたとある)、ヘイトスピーチ、セクシズム、偽情報は検出されなかったという。
なお、IMIは、1996年から活動しているメディア問題に特化したウクライナのNGO。ジャーナリストの権利を守り、メディア分野を分析し、メディア関連の出来事を報じ、プロパガンダや偽情報に対抗する活動を行っている。2014年に始まったロシア・ウクライナ戦争の期間は、戦闘地域へ出張する記者たちに防護具を提供している。
IMIは、ウクライナで唯一「報道の自由モニタリング」を行い、「質の高い責任あるオンラインメディアリスト」を作成している。また、ロシア・ウクライナ戦争におけるメディア関連犯罪の記録も行っている。加えて、IMIは、ウクライナ国内20地域に代表者を抱ええており、記者たちを継続的に支援するための拠点ネットワーク「メディアバーザ」を運営している。
IMIの国際パートナーには、「国境なき記者団」や「フリーダム・ハウス」がある。また、IMIは、国際的な言論の自由保護を担うネットワーク「IFEX」にも参加している。
これに先立ち、IMIは、今年5月の監視活動の結果で、報道の95%以上で報道基準を遵守しているとする最高水準のリストにウクルインフォルムを加えていた。IMIの「ホワイトリスト」は、この報道基準調査の他、その他の基準での評価も加えて作成されている。