ロシア、「偽造感謝状」の拡散で戦死したウクライナ兵士の家族を攻撃
ロシアのプロパガンダがウクライナ北部チェルニヒウの市議会名義で偽の「感謝状」を写した写真を拡散している。
執筆:アンドリー・オレーニン
ロシアの報道機関とテレグラム・チャンネルは、スーツを着た男性が高齢の女性に花束と「感謝状」を渡している写真を拡散している。チェルニヒウ市議会が発行したとされるこの「感謝状」には、その女性があたかも「英雄を育てた功績(死後)」で表彰されたと書かれている。ニュースや投稿では、このようにウクライナでは戦死した息子に対し普通の感謝状しか贈られないとし、戦死した兵士とその家族に対する政権代表者たちの無関心を示すものだなどと主張されている。
しかし、これは偽情報である。同様の写真はチェルニヒウ市議会の公式サイトにも、ソーシャルメディア上の公式アカウントにも存在しない。
また、チェルニヒウ市議会の広報室も、ウクルインフォルムの記者に対し、この写真がフェイクであることを認めた。広報室は、プロパガンディストがインターネット上で拡散している写真に写っている「感謝状」は偽造された物だと指摘した。
広報室は、「送っていただいた写真に写っている「感謝状」は、チェルニヒウ市議会のものではない。チェルニヒウ市議会の公式な表彰状として承認されているのは、『チェルニヒウ市議会及び執行委員会名誉感謝状』だ」と説明した。
その公式な「チェルニヒウ市議会及び執行委員会名誉感謝状」は、2部構成で、A5サイズの用紙に印刷されるものであり、写真に写っているものとは内容や形式が全く異なっている。
また、フェイク写真に写る「感謝状」の類は、インターネット上のストックフォトサイトで簡単に見つけることができる。
ロシアは、このような形で、ウクライナの英雄が政権や社会にとってあたかも不要であるかのような、印象操作的なナラティブを広めたがっている。これは、ウクライナ人の間で敵に対抗する意欲を削ぐことを目的として行われているのであろう。
なお、軍人に対する失礼な態度は、ロシアにこそ特徴的なものである。例えば、ウクライナで戦死したトゥヴァ共和国のロシア兵の家族には、ペリメニとサーカスのチケットが手渡されていた。