戦争の活発な局面はあと1、2年で終わり、難民の30%がウクライナに帰国するだろう=専門家

ウクライナの科学アカデミー社会学研究所のイェウヘン・ホロヴァハ所長は、現在のロシア・ウクライナ戦争の先頭が活発な局面はあと1、2年で終わる可能性があり、その場合、国外に避難している難民の内約30%がウクライナに帰国するだろうと予測している。

ホロヴァハ科学アカデミー社会学研究所所長がウクルインフォルムとのインタビュー時に発言した(リンク先はウクライナ語)。

ホロヴァハ所長は、「私は、もしウクライナにおける戦争があと1、2年続くなら、30%(編集注:の難民の帰還)を期待できると思っている。なお、私は、1、2年で戦争が終わると予想する専門家の1人である」と発言した。

また同氏は、ロシアとの戦争全体としては、ロシアで政治体制の変化が生じない限り続いていくだろうとも指摘した。その点につき、同氏は、「私たちは、冷戦なり熱戦なりをこうむる運命にある。2030年代にも活発な局面があるだろうと予言する専門家もいる。しかし、私は、1、2年で終了、30%のウクライナ人が帰還だと話している」と説明した。

同氏はまた、ウクライナで若者を維持するために、戦闘行為ができるだけ早く終了しなければならないとし、なぜなら現時点で社会の主要な問題は「安全」だからだと指摘した。

その際同氏は、「今の主要な問題は、人口の回復ではなく、人々の安全だ。そして、近い将来について考えなければいけない。若い世代を維持するためには、戦争が可能な限り早く終わることが望ましい。そうすれば、多くの人がウクライナに戻ってくるだろう」と予想した。

また同氏は、国外にいる難民の内、帰還の意向を示している者の割合はすでに50%を切っていると指摘した。

同氏は、「社会学者たちは、誰が帰還の意向があるかにつき調査した。私たちの2022年のデータでは78%だったが、今は50%未満だ。バルカン戦争(編集注:1990年代に旧ユーゴスラビア社会主義連邦共和国を巻き込んだ一連の紛争)の経験では、戦争を経験した国々(ボスニア、クロアチア、アルバニア)には、国外へ出ていた人々の30%が帰還した」と指摘した。

同時に同氏は、帰還しない残りの70%のウクライナ難民を母国にとって失われた存在と見なすべきではない、なぜなら彼らもまた価値を構成していくからだと説明した。

そして同氏は、「あちらに70%の人が残るとしても、彼らが断絶されることは意味しない。人々はその社会的資本によって評価される。彼らは国外で新しい能力を習得し、その資本の価値は増大していくだろう。だから、そのことを悲劇的に見るべきではない」と述べた。

同氏は、第一世代の移民は、新しい環境に適応するのが困難な場合が多く、彼らは帰国する傾向があると指摘した。その際同氏は、「第一世代の移民は、国外で常に非常に困難な状況に置かれる。柔軟で何にでも適応できる人もいる。しかし、圧倒的多数の人々にとって、新しい規則、新しい条件、新しい言語に慣れることは重い十字架だ。そのため、同等の条件があれば、多くの人が喜んで戻ってくるだろう」と説明した。