82%のウクライナ国民、ロシアの「和平計画」を否定
ウクライナで実施された最新の世論調査にて、82%のウクライナ国民がロシアが提示している和平計画を否定した。
キーウ国際社会学研究所が5月2日から12日にかけて実施した世論調査の結果を発表した。
研究所は、2025年4月、マスメディアや公人から、米国の和平計画の情報が出てきて、その後欧州諸国とウクライナが共同で提示した和平計画(米国案を受けて作成されたもの)の詳細も出てきたことが喚起されている。
同時に、ロシアは、「和平実現」への自らの要求も提示し続けている。
回答者には、ランダムに3つの条件付き案「米国案」「欧州・ウクライナ案」「ロシア案」の内1つが示された上で受け入れ可能かどうかが尋ねられた。その際、その案の条件付きの名前は提示されていない。
回答結果では、条件付き「ロシア案」に同意し得るとの者は10%だけとなっており、全く受け入れられないとの回答は82%だった。
同時に、条件付き「米国案」を受け入れ可能との回答は29%だった。なお、その内25%は「困難な案だが、総じて受け入れ可能」との回答だった。61%は「全く受け入れられない」と回答した。
3案の内、「欧州・ウクライナ共同案」への支持が最も多くなっている。同案は、51%のウクライナ国民が、困難だが受け入れ可能だと回答した。全く受け入れられないとの回答は40%だった。
研究所は、ウクライナの全ての地域で、大半の回答者がロシアの要求への完全な否定を表明し、和平のために同要求を受け入れる準備があるのはわずかだったと指摘している。また、米国案も、全地域で大きな支持はなかったと伝えた。
同時に研究所は、欧州・ウクライナ共同案への支持は、地域差が見られるとし、西部と南部では、支持と不支持が同程度の回答だったのに対して、中部と東部では過半数が同計画を受け入れる準備があると答えたという。
なお、調査時に示された各案の内容は以下のとおり(編集注:実際に提示された正式な提案と一致したものではない)。
米国の条件付き案:
・米国を除く一部の欧州諸国がウクライナに安全の保証を提供する
・ロシアが占領した領土はそのままロシアの支配下に置かれる
・米国がクリミアをロシア領として正式に承認する
・ウクライナはEU加盟へと向かう
・米国および欧州はロシアに対するすべての制裁を解除する
欧州・ウクライナの共同条件付き案:
・ウクライナは欧州および米国から信頼できる安全保障を受ける
・ロシアは占領地を保持するが、ウクライナと国際社会はこれを公式には認めない
・ウクライナはEU加盟に向かう
・持続可能な平和が確立された後、米国は段階的に制裁を緩和していく
ロシアの条件付き案:
・ウクライナは軍を大幅に縮小し、武装を制限しなければならない
・ウクライナはNATO加盟を永久に放棄する
・ヘルソン市、ザポリッジャ市、そしてドネツィク・ザポリッジャ・ヘルソン(編集注:ママ。ルハンシク州の間違いだと思われる)各州の全域がロシア支配下に入る
・ウクライナは全ての占領地をロシア領と正式に認め、永久に放棄する
・ウクライナはEU加盟に向かう
・米国と欧州はロシアへのすべての制裁を解除する
今回の世論調査は、キーウ国際社会学研究所が2025年5月2日から12日にかけて、CATI(Computer Assisted Telephone Interviewing)方式で、ウクライナ政府の管理が及ぶ地域全てにおいて、成人国民1010人を対象に実施したもの。政府管理の及ばない地域や、2022年2月24日以降国外に滞在している者は対象にしていない。理論的誤差は最大で±4.1%だと説明されている。