露偽情報、ウクルインフォルムのニュースを摸して「存在しない法案」につき拡散

ファクトチェック

ロシア発プロパガンダは、これまでに繰り返し、ウクルインフォルム通信のウェブサイトの報道を真似した形で偽情報を拡散している。

執筆者:ドミトロー・バドラク

最近は、ロシアのテレグラム・チャンネル、ツイッター、TikTok、VK、ユーチューブ、報道サイトにおいて、あたかもウクルインフォルムの3月24日のニュースかのように見せかけたスクリーンショットが拡散された。そのウクルインフォルムのものを摸した「偽ニュース」では、ウクライナにおいて、墓地の写真や動画を禁止する法案が現れたとあり、その情報源はウクライナの最高会議(国会)ウェブサイトだと書かれている。さらに、「法案」の「説明」だとする文には、「ウクライナの墓地の状況を公開することは、ロシア連邦軍に価値ある情報を提供し、また国内にて否定的な情報背景を生み出す可能性がある」と書かれている。

ウクルインフォルムのウェブサイト上にそのようなニュースはなく、拡散されたものはフェイクニュースである。そのことは、インターネットアーカイブ「ウェイバック・マシン」を使っても確認できるし、スクリーンショットの偽ニュースに記載されている記事公開日時「3月24日19時24分」には、全く異なるニュースが掲載されている。

さらに、全面侵攻が始まってから、ウクルインフォルム(ウクライナ語版)では、ロシア関連の固有名詞の表記には、頭文字にも小文字を用いているが、この偽ニュース製作者はその点を考慮せず、「ロシア連邦」を大文字を使って書いており、その点も同「ニュース」が偽造であることを示している。

また、ウクルインフォルムでは、法案についての情報を掲載する場合は、常に法案の番号を示しているが、ロシアのこの偽情報では番号が記載されていない。

そして、ウクライナ最高会議に登録された法案アーカイブには、偽情報で言及されたような法案は存在しない。

なお、ロシアのプロパガンディストは、ウクルインフォルムの名を借りてスクリーンショットを偽造する手段をこれまでにも用いてきた。前回は、東部ハルキウ市の「不屈ポイント」において、3名の人が亡くなったが、政権はウクライナの報道機関に対してその悲劇を隠蔽するよう命じた、という内容だった。同偽情報も、すでに否定済みである(編集注:リンク先記事はウクライナ語)。