ベリングキャット、ウクライナ東部被占領地拷問施設へのロシア特殊機関関与の証拠を近く発表予定

独立調査報道グループ「ベリングキャット」は、ウクライナ東部被占領下ドネツィク市にある拷問施設「イゾリャーツィヤ(孤立)」がロシア連邦保安庁(FSB)の管理下にあることを示す報告書を近々発表する予定である。

12日、ベリングキャットのフリスト・グロゼフ氏が、ウクライナの政治討論番組「サヴィク・シュステルの表現の自由」出演時に発言した。ニュースサイト「フロマツィケ」が報じた

グロゼフ氏は、調査は彼が以前武装集団にて「イゾリャーツィヤ」に拘束されていたスタス・アシェーイェウ記者と知り合ってから始められたとし、最初は、拷問に関与した3名のロシア国民を明らかにしたと述べた。

同氏は、「私は、スタニスラウ氏の本を読んで、本件は国際刑事裁判所に持ち込むべきだと理解したのだ。そして、拷問を実行した人物だけでなく、拷問を命じた人物も探さねばならない。私にとって、彼らの上にいる者、彼らを操っている者が誰なのかはわかっていた。そして、1年間かけて、私たちは、かなり高い地点にまで達することができ、それがロシアの連邦保安庁(FSB)のコントロール下にあることを理解したのだ」と発言した。

また同氏は、当時イゾリャーツィヤで指示を出していたFSBの人物は全員、偽名によって自らの情報を隠そうとしていたが、しかし、ベリングキャットの調査員が1年かけて、それら人物を特定したと述べた。

同氏は、その調査報告は「もうすぐ」公開すると述べた。また、同氏は、同調査はロシアの調査報道メディア「インサイダー」と「ラジオ・リバティ」通信とともに作業していると伝えた。

なお、「イゾリャーツィヤ」は、2010年以降、ドネツィク市の工場跡を利用して様々な芸術・文化イベントを行う同名の団体の施設として知られていた場所。2014年、ロシアによるウクライナ侵略が始まり、ドネツィク市が占領されると、ロシア武装集団によりイゾリャーツィヤの敷地は占拠された。国連の報告書や被拘束者の証言により、同敷地はその後、武装集団により拘束者を拷問する場所として利用されていることが明らかとなっている。