米国の和平案は、欧州との追加作業・調整が必要=マクロン仏大統領

フランスのマクロン大統領は22日、米国による露宇戦争の和平案は、ウクライナの主権と欧州の安全保障の観点から一部の項目が受け入れられないため、追加作業と欧州パートナーとの調整が必要だと指摘した。

マクロン大統領がヨハネスブルグでのG20首脳会議の会場内で記者団に対して発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

マクロン氏は、「その案が良いのは、平和を提案し、主権及び安全保障の問題に関する重要な要素を認めている点だ。平和に繋がるいかなるイニシアティブも良いものだが、しかし、今私たちはそれがどのような条件で受け入れられるかを知っている」と述べた。

そして同氏は、同案を「再開する必要がある作業のための基盤」と形容した。

同氏はその際、「なぜなら、第一に、その案は欧州諸国と調整されていないからだ。一方、同案は欧州諸国にとって多くの事を想定している。凍結された資産は欧州諸国によって保有されているのだ。ウクライナの欧州統合は、欧州諸国の手中にあることだ。NATOが何をするかという理解は、NATO加盟国の手中にあることだ。よって、単なる米国の提案ではありえない多くの事柄があり、それらはより広範な協議を想定している」と説明した。

同時に同氏は、同案には「ウクライナ軍の形式、すなわちウクライナ自身の主権の制限」に関する阻止項目が含まれている。また、それ(案)には抑止の要素が含まれていないため、ロシア側が約束を破って戻ってくる可能性があることを意味する」と指摘した。

そして同氏は、「私たちはこれをすでに何度も見てきたし、とりわけ2022年2月のウクライナに関してそうだ。したがって、私たちは平和を望んでいる。私は、それは停戦から始まるべきだと思っている」と発言した。

同氏は加えて、(編集注:23日の)ジュネーブでの協議にはEU及び英国の交渉チームが参加すると伝えた。さらに同氏は、ウクライナへの安全の保証に関する特定の決定を既に確認している、いわゆる「有志連合」の国々も自らの立場に関する議論を計画するだろうと述べた。

その上で同氏は、「そして、私たちは火曜日の午後に会合を開き、この問題について調整し、ジュネーブでの協議で達成されるであろう進展を確認し、新しいイニシアティブを採択できるようにする」と述べた。

また同氏は、現在の協議を「複雑だ」と形容した。

その上で同氏は、「しかし、私たちはその後、再び立場を近づける必要がある。なぜなら、米国もこの紛争を解決するために欧州諸国を必要としているからだ。ところで、それは、テーブルに置かれた28項目の中に非常に明確に見えている。したがって、私たち全員が多くの冷静さと冷徹さを保つ必要があると思う」と主張した。

なお同日、欧州とカナダの首脳と日本の高市首相は、米国が提案したロシア・ウクライナ戦争終結に向けた28項目の和平案につき、「公正かつ永続的な平和に不可欠となる重要な要素が含まれている」とし、「追加的作業を必要とする基盤となると信じている」と表明した。同時に、ウクライナ軍を制限するという提案については懸念も伝えている。

これに先立ち、トランプ米大統領は21日、トランプ政権はウクライナ側が米国が準備したロシアとの戦争終結案に同意する上での締め切りは来週の木曜日と定めたと発言していた。

ゼレンシキー大統領は同日、現在ウクライナは重要なパートナーか尊厳を失うリスクに直面しかねなくなっていると発言していた。同時に同氏は、主要なパートナーとの建設的な対話を確立するために取り組んでいくと述べていた。

22日、ゼレンシキー氏は、米国、その他のパートナー国、及びロシア代表者との間で、公正かつ永続的な平和の達成に関する交渉プロセスに参加するウクライナ代表団を創設する大統領令に署名している。ウメロウ国家安全保障国防会議(NSDC)書記は同日、ウクライナと米国の政権高官は近日中に将来の和平合意の要素についてスイスで協議を始めると発言した

英国のスターマー首相も同日、ウクライナのパートナー国は23日にスイス・ジュネーブで開催される和平協議に焦点を合わせていると発言した