欧州委員会、ウクライナ政権の汚職対策機関に関する対応変化を歓迎
欧州連合(EU)の欧州委員会は24日、ウクライナ政権が汚職対策機関の独立性を制限する法改変に関するEUの指摘に対する対応を歓迎しつつ、今後のウクライナの今後の行動を引き続き注意深く観察していくと発表した。
欧州委員会のケールスマッカー報道官がブリュッセルでの記者会見で発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。
ケールスマッカー報道官は、「私たちは、ウクライナ政権が新たなアプローチを採用し、新たな計画ないし法案を提案したと理解している。そして、私たちは、ウクライナ政権が措置を講じているという事実を歓迎し、昨日および一昨日に明確に伝えられた私たちの懸念が本当に考慮されるように、彼らと協力していく」と強調した。
同氏はその際、フォンデアライエン欧州委員会が前日にどのようにウクライナ政権と連絡を取ったかについては、明らかにしなかったが、同時に、フォンデアライエン氏がメッセージの中で「私たちの懸念と講じられた措置への危惧」を伝えたと指摘した。
記者会見時、同氏は、汚職対策機関の独立性に関して生じた問題のある状況を解決するためにEUがウクライナから期待している具体的な措置の内容や、その措置が講じられるべき期限について、明確に説明することを断った。
記者から、今回の法改変がEUからウクライナへの財政支援や今後のウクライナの欧州統合プロセスに悪影響を及ぼす可能性について質問されると、メルシエ欧州委員会報道官は、「EUはウクライナに著しい財政支援を行っており、それは透明性、司法制度改革、民主的統治における進展に左右されるものである」と答えた。
そしてメルシエ報道官は、「現在の状況については、すでに述べた通り、私たちは最近の法改変に深刻な懸念を表明しており、いくつかの行動が議論され、将来的に講じられる可能性がある」と述べつつ、現時点で、欧州統合の状況を含めて、EUが取り得る対応について憶測することは不適切だと補足した。
同氏はさらに、欧州委員会はNABUとSAPを巡る動向を引き続き注意深く追っていき、同時に問題の解決のための支援を提案していくと強調した。
その際同氏は、「私たちは、ウクライナが汚職と闘うために必要な全ての手段を持ち、安全装置を得て、それらの独立性が確保されていることを確信する必要がある」と述べた。
同氏は加えて、EU加盟候補国である全ての国に対し、汚職対策と法の支配に関する欧州基準の完全な遵守が期待されていると改めて強調した。
同時に同氏は、NABUとSAPの独立性が制限されたことで、EUによるウクライナへの軍事支援を妨げる可能性があるかという質問に対しては、それら2つの問題を関連付けることはしないと回答した。
これに先立ち最高会議は22日、NABUとSAPの権限を縮小する法律を採択していた。
同採択後、クリヴォノスNABU局長は、ゼレンシキー大統領に対して、同法が発効すれば「2つの独立機関、NABUとSAPは、事実上、完全に依存状態に置かれてしまう」ため、同法に署名しないように呼びかけていた。
同日、ゼレンシキー大統領は、同法に署名した。
同日、キーウ中心部では、最高会議が採択した汚職対策機関の権限縮小を定める法律に反対する市民が抗議集会を開催し、ゼレンシキー大統領に同法案への拒否権を発動するよう要求していた。
一部の最高会議議員は、同法の審査について憲法裁判所に申し立てをするために、議員の署名集めを行うと発表している。
23日、NABUとSAPは、前日採択された両機関権限制限法により、両機関の独立が著しく制限されると表明していた。
24日、ゼレンシキー大統領は、汚職対策機関の独立性に関する法案の文言を承認したと発表していた。