「機能遂行の保証が剥奪された」=ウクライナの汚職対策2機関、権限制限法につき声明発出
ウクライナの政権高官の汚職犯罪に特化して捜査・訴追を行う機関「国家汚職対策局(NABU)」と「特別汚職対策検察(SAP)」は、前日採択された関連法改変により、両機関はその独立が著しく制限されると表明した。
SAPがテレグラム・チャンネルにて、NABUとSAPのトップが23日に大統領府が主導した会合の際に表明したと報告した。
両機関は、「今後、NABUとSAPは保証が剥奪される。これまでは、その保証により、トップ汚職対策における自らの課題と機能を効果的に実現することが可能だった。完全かつ独立した活動の回復のためには、法律のレベルで、議会によって無効化された保証を取り戻す、明確かつ一義的な措置が不可欠である」と訴えた。
同時に、両機関は、ウクライナ国民の利益にコミットしており、両機関の専門的能力とこれまでに達成してきた結果を維持するために活動を続けるとも強調している。
両機関はさらに、「法の支配と法の遵守はNABUとSAPにとっての不変の価値であり続けている。他の法執行機関からも同様のアプローチを期待している。私たちは、ウクライナ国民による、原則的な立場、積極的な支持、積極的関与に心から感謝している。積極的な社会の参加のおかげで、汚職対策改革は可能となったのだ」と伝えている。
同時に両機関は、国際パートナーたちに対して、ロシア侵略との戦いにおいてウクライナを全面的に支え続けるよう呼びかけた。その際両機関は、「ウクライナ防衛戦力の力と強靭性、ウクライナ社会の団結と体系的な国際支援が侵略を克服して、私たちの国家の欧州的未来を確固たるものとする上での重要な要因である」と訴えた。
これに先立ち、最高会議は22日、NABUとSAPの権限を縮小する法律を採択していた。
同採択後、クリヴォノスNABU局長は、ゼレンシキー大統領に対して、同法が発効すれば「2つの独立機関、NABUとSAPは、事実上、完全に依存状態に置かれてしまう」ため、同法に署名しないように呼びかけていた。
同日、ゼレンシキー大統領は、同法に署名した。
同日、キーウ中心部では、最高会議が採択した汚職対策機関の権限縮小を定める法律に反対する市民が抗議集会を開催し、ゼレンシキー大統領に同法案への拒否権を発動するよう要求していた。
一部の最高会議議員は、同法の審査について憲法裁判所に申し立てをするために、議員の署名集めを行うと発表している。