カラスEU上級代表、欧州とウクライナの背後での和平合意の試みは「いずれも失敗する」

欧州連合(EU)のカラス外務・安全保障政策担当上級代表は13日、欧州とウクライナの背後での「和平合意」の締結の試みはいかなるものも失敗すると警告した。

カラス外務・安全保障政策担当上級代表が北大西洋条約機構(NATO)ウクライナ理事会の非公式会合の開始前に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

カラス氏は、「私たち抜きであれば、どのような合意も失敗する。なぜなら、あなた方はどのような合意の履行にも、欧州とウクライナを必要とするからだ。それ抜きで、テーブルにそのような出席(編集注:欧州とウクライナの出席)なしであれば、あなた方は何にでも合意はできるだろうが、しかし、それはただ失敗する。なぜなら、履行されないからだ。どのような迅速な決定もそれは『汚い仕事』であり、私たちはそれを以前に見てきた。例えば、『ミンスク』だ。それは単に機能しないのだ。それは殺人を止めないし、それは戦争を止めない。それらは続いていくことになる」と発言した。

同氏はまた、1930年代のチェコスロバキアの出来事との類似性を指摘しつつ、類似の条件下である国が侵略国に対して抵抗することを決定した場合、行い得ることは1つ、武器などのその国が必要とするあらゆるものでその国を支援することであり、そうしていたら第二次世界大戦は防ぎ得たのだと発言した。

そして同氏は、「第二次世界大戦の再来を防ぐためには、私たちは、より広範な紛争を看過しないために、今ウクライナが侵略から自衛するのを支援せねばならない」と強調した。

米国からの対ウクライナ軍事支援の減少の可能性については、カラス氏は、ウメロウ宇国防相との会談時に得たデータとして、ウクライナは軍事支出の55%を自力で拠出しており、25%が欧州から入ってきており、残り20%が米国からのものだと指摘した。そして、同氏は、もし米国が本当に「ゲームから降りる」ことを決定したとしても、ウクライナは主権と領土一体性の原則や、欧州が支持する原則を守り続けるだろうとした上で、欧州はその努力においてウクライナを支えていると発言した。

加えて同氏は、「ロシアは私たちから合意を望んでいるが、それを履行することは考えてすらいない。私はまた、交渉が始まる前に全てを明け渡すというのは良い交渉戦術ではないと思っている。(編集注:侵略国との)宥和の試みは、常に失敗を喫する」と強調した。

その他同氏は、EU加盟国と米国と英国を合わせると、経済力でロシアを17倍上回るし、ウクライナが抵抗を続ける場合、西側は集団でウクライナを支持する新たな取り組みを打ち出す可能性があるとし、なぜなら欧州が支持する原則もウクライナが守って戦う原則も変わっていないのだからと説明した。

記者から、米国のウクライナによるNATO加盟への態度について質問されると、カラス氏は、NATO加盟はウクライナにとって最も強力な安全の保証というだけでなく、最も安価な保証でもあるとし、そのような可能性は交渉が始まりもしていない内に放棄することはできないと発言した。

そして同氏は、「もう一度言うが、交渉が始まりもする前に、私たちは交渉のテーブルから何も排除すべきでない。なぜなら、それはロシアの一方的なゲームであり、それこそ彼らが望んでいることだからだ。どうして私たちが彼らの望むことを全て明け渡さねばならないのだ? それは宥和の試みであり、それが機能することは決してない」と強調した。

写真:Philippe STIRNWEISS/ EP