ロシアは「和平協議」と「ウクライナの譲歩」のテーマをプロパガンダで扱い始めている=専門家

北大西洋条約機構(NATO)戦略的コミュニケーション能力向上センター(ストラトコムCOE)のマリーナ・ヴォロティンツェヴァ専門家は、ロシアが現在プロパガンダにおける主要なナラティブを変更しているとし、これまで過去1年半は「ウクライナにおける動員」をよく扱っていたのに対して、現在「和平協議」「ウクライナの譲歩」の話題を扱うようになってきていると指摘した。

ヴォロティンツェヴァ専門家がウクルインフォルムへのインタビュー時に発言した(リンク先はウクライナ語)。

ヴォロティンツェヴァ氏は、ロシアが1年半にわたってウクライナの動員を失敗させるために行なってきたプロパガンダの効果は小さくなってきていると指摘しつつ、それは部分的には、どのようなプロパガンダキャンペーンも「一定のライフサイクルがあり、その後自然に効果を失っていくもの」であることから説明がつくと指摘した。また同氏は、プロパガンダテーマの風化はウクライナによる対抗によっても加速すると補足した。

同時に同氏は、「しかし、概して、ロシアのプロパガンダは現在、別の話題に切り替わっている。新しいロシアのキャンペーンが始まっていることを皆が目にしている。それは『ウクライナが譲歩する』『ウクライナが譲歩するように西側がウクライナに圧力をかける』という話だ」と指摘した。

また同氏は、そのようなナラティブは以前もあったが、現在それは、政治情勢全般を考慮した上でいよいよ強まり、前面に出てきていると述べた。そして、「それらナラティブを個別のメッセージに分解してみると、ロシアがどのように機能しているかを見ることが可能だ。重要なのは、ロシアがどのようにそれらを組み立てて、そのテーマをどのように活性化させているのかを見ることである」と指摘した。

なお、NATOストラトコムCOEは、2014年からラトビア首都リガで活動している。2023年6月からは、同センターにて、ウクライナ代表者としてマリーナ・ヴォロティンツェヴァ氏が勤務している。