マリューシカ宇司法相、保安庁の報道関係者追跡事件につき「恥だ」

ウクライナのマリューシカ司法相は6日、同国の調査報道プロジェクト「ビフス・インフォ」が同プロジェクトの記者たちを保安庁(SBU)職員が追跡していたと報じたことにつき、国内の情報機関の活動に対するさらなるコントロールが必要との見方を示した。

マリューシカ司法相がフェイスブック・アカウントに書き込んだ

マリューシカ氏は、「ビフス・インフォの番組を見返した。記者たちの調査の質を誇りに思う。情報機関の『仕事』に恥を感じる。ウクライナに向けられた国際メディアの注意を考慮した上で、私は、彼らにある、正しい対応を示し、正しいメッセージを出すための時間は24時間未満だと思う」と発言した。

同氏はまた、「SBU法によれば、同情報機関をコントロールは、最高会議(国会)、大統領、検察が行うことになっている」とし、「大統領はこれまでに、局長を解任するといいう最初の行動をとっている。思うに、政権の全ての分野の迅速な対応とコミュニケーションが必要だ。私の慎ましい意見では、私たちには、国内情報機関の行動へのさらなるコントロールが必要だと思う。国外の活動や前線では、彼らは素晴らしい。そちらでは全てオーケーであり、構わなくて良い」と指摘した。

これに先立ち、1月16日、調査報道プロジェクトとして知られる「Bihus」のデニス・ビフス代表は、Bihusのメンバーが禁止された物品を使用したなどとする挑発的な内容の動画が拡散されたと発表し、さらに、メンバーが違法に尾行されたり、盗聴されたりしてきたと発表した。

2月5日、調査報道プロジェクト「ビフス・インフォ」は、2023年12月27日に同グループ編集部が滞在した休暇施設の部屋に隠しカメラを設置した作戦を実施した人物を特定したと発表していた。同休暇施設の監視カメラの動画により特定できたという。

ビフスの記者たちは、「同作戦を担当していたのは、SBUの国家性保護局である。動画から判断するに、機材の設置には、SBU作戦技術支援局も関与した」と発表していた。

SBUは同日、同局に関する人事決定を採択したと公表していた。

ウクライナの報道機関を調査する市民団体「マス情報研究所(IMI)」のオクサーナ・ロマニューク所長は1月16日、ウクライナの報道関係者が体系的な圧力を受けているとして、政権に対応を要求した。同氏は、メディアを狙った攻撃、追跡、秘密裏の動画撮影というのは、民主国家では看過し得ないものだと訴えていた。

また、同国最高会議(国会)で「表現の自由」委員会の委員長を務めるヤロスラウ・ユルチシン委員長(野党会派「声党」所属)は、法執行機関に対する要請を準備しているとコメントしていた

ゼレンシキー大統領は1月17日、最近国内で起きている報道関係者に対する攻撃事案につき、記者に対する圧力はどんなものも看過できないとコメントしている

ウクライナに駐在するG7の大使からなる「G7大使ウクライナ・サポート・グループ」は同29日、同国の報道の自由の状況を議論するために、ビフス代表やウクルインフォルム副総裁を含むウクライナの複数報道機関の関係者と会談していた