ウクライナの専門家がポーランドでの爆発捜査に参加すべき=ゼレンシキー宇大統領

ウクライナのゼレンシキー大統領は16日、ウクライナとの国境近くのポーランド領で爆発したミサイルにつき、ウクライナ側は同国専門家が捜査に参加すること、ポーランド国内のミサイル落下・爆発地点へのアクセスできることを求めていると発言した。同時に同氏は、ウクライナ側のミサイルにより人が死亡していたことが判明したら、謝罪が必要だとも述べている。

ゼレンシキー大統領が同日夜の動画メッセージの際に発言した

ゼレンシキー氏は、現在国連安全保障理事会会合が開催されており、そこでロシアの対ウクライナ・テロについても協議されていると伝えた上で、「もちろん、ポーランドの状況も主要な議題の1つだ。ロシアの侵略がポーランド国境をどのように越えたかのあらゆる状況の解明である。ウクライナの立場は非常にシンプルだ。私たちは、あらゆる詳細、1つ1つの事実を解明したいと思っている。まさにそのため、私たちは求めているのは、私たちの専門家が国際捜査の作業に加わることと、私たちがパートナーたちの有しているデータと爆発現場へのアクセスを得ることである」と発言した。

同氏はまた、ウクライナ側の有する情報へは全てアクセス可能だと指摘した。さらに同氏は、「私たちは、夜、世界が何が起きたか調べ始めた最初の数時間から、パートナーたちに情報を提供していた」と発言した。

加えて同氏は前夜、ドゥダ・ポーランド大統領とも話し、哀悼の意を伝えたとも報告した。同氏は、ロシアの侵略がポーランド国民2名の命を奪ったのだとし、「今、ロシアの戦争が奪った全ての人、ポーランド国民とウクライナ国民への1分間の黙祷を捧げて欲しい」と呼びかけた。

その他、ウクライナ大統領府は、同日ゼレンシキー大統領の国内メディアへのインタビュー時の関連テーマ部分の発言を公開した

ゼレンシキー大統領は、ウクライナ空軍と軍総司令官の情報によれば、それはウクライナ側のミサイル攻撃ではなかったというこであり、自身は彼らの情報を疑っていないと発言した。

同氏はまた、ウクライナの代表者がポーランド領のミサイル着弾現場にアクセスできるようでなければならないと指摘し、「それが公正で正直なことだ。私たちは、共同捜査班に加わる権利がある。(中略)私たちは皆パートナーなのだから」と発言した。同氏は、その際ウクライナはパートナーと情報を交換し、事実、証拠を受け取り、捜査を行い、その後であれば結論を出し得るのだと指摘した。

その上で同氏は、「私たちは公正な国家だ。もし、それが私たちの防空システムが行ったことであり、何らかの破片がポーランド領に入ったのであれば、私はその証拠が欲しい。もし何らかの破片がそれらの人々を殺したのであれば、私たちは謝罪が必要だ。私たちは正直なのだから。しかし、まずは、捜査、アクセス、あなた方のところにある情報だ。私は、非公開で私たちの空軍の話を聞いて欲しいとすぐに発言した」と伝えた。

同時に同氏は、ウクライナ側にも爆発当時に確認した情報があるとし、さらに爆発の直径が20メートル、深さ5メートルだと、ミサイルの破片であり得るだろうかと指摘し、自身は軍の報告を信じており、それがロシアのミサイルだと思っていると発言した。

加えて同氏は、現在ウクライナ軍は欧州東方を守る盾となっており、あり得るロシア・ミサイルの着弾から守っているとし、そのことも話さなければいけないと発言した。

これに先立ち、これに先立ち、15日、ポーランド領内でウクライナ国境付近のプシェヴォドゥフ村にて、穀物乾燥機の近くで爆発があり、結果、2名の住民が死亡したと報じられていた。

ポーランドのドゥダ大統領は16日、ポーランド領に着弾したミサイルがロシア軍により北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対して意図的に発射したものであることを示す兆候は一つもないと発言している。さらに同氏は、「それが不幸な事故だったというのが、最も可能性がある」と発言し、おそらくそのミサイルはウクライナの防空システムの一部だったと補足した。

ポーランドのモラヴィエツキ首相は同日、ポーランド領内に着弾したミサイルは、ウクライナの防空システムのものであった可能性があるとしつつ、同時に、ポーランドとウクライナを揉めさせるために、ロシアがそのような挑発を意図的に準備していたというシナリオも排除できないと発言した

北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は同日、暫定的な分析が示しているのは、ポーランド領に落下したのはロシアの攻撃から守ろうとしたウクライナのミサイルだということだとしつつ、しかし本件では、ウクライナはロシアの大規模攻撃から身を守っていたのであり、ウクライナに罪はないと発言した

写真:大統領府