欧州には、ロシア敗北に向けた心の準備が必要=ウクライナ政権関係者

ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は、欧州がウクライナと一緒になって現下の戦争を適切にウクライナの勝利で終わらせることを回避すれば、それはロシアが生み出している問題や危機がさらに大きくなることになると指摘した。

ポドリャク氏が、スペインのニュースサイト「エルディアリオ」へのインタビュー時に発言した。大統領府が発言を紹介した

ポドリャク氏は、「もし欧州が、ロシアからのあらゆる脅迫や圧力を取り除きたいと考えているなら、私たちは、この戦争を公正な手段で終わらせねばならない。それはウクライナにおける戦争だけではなく、移民危機、エネルギー危機、経済危機、財政危機、政治危機の話でもある。私たちは、ロシアがその危機を実現できる状態を看過してはならない。もし今、欧州がウクライナとともに、戦争を然るべき形で終わらせようとしないなら、欧州は同じ問題を今後も抱え続けることになるし、問題の規模はより大きくなる。なぜなら、ロシアは、欧州に勝ったと考えるようになるからだ」と発言した。

また同氏は、「私は、欧州首脳、特にボレル氏(EU上級代表)の立場は正しいものだと思っている。彼らは、戦争を誤って終結させた場合のあらゆる結果を理解している。そして、後退の道がないことも理解している」と発言した。

同氏はさらに、ハンガリーのような民主主義の歴史が浅い国とは違い、成熟した欧州民主主義国家は、この戦争は、ウクライナの勝利という然るべき形で勝利しなければならないことを理解していると指摘した。

また同氏は、ロシアは修辞だけで協議の話をしており、実際には協議を望んでいないと指摘し、本当の協議プロセスを開始するには、ロシアが国際法規範を遵守し始め、ウクライナ領を撤退する必要があると強調した。

同氏は、「ロシアは、『私たちはあなた方の領土に入り、あなた方の国民を殺した上で、あなた方が領土の一部を明け渡すことを望んでいる』という最後通牒を突きつけている。自国領に他国の軍がいる際に、合意することは不可能だ。(中略)私たちの国にとっては、これは2014年以降の戦争の第2段階である。認められた国境があるのなら、そこへは誰も入ってはならないし、何も奪ってはならない。その理由から、協議の開始が可能となるのは、私たち皆が国際法に戻ってからである。国境があり、ロシア人が私たちの領土から去り、協議テーブルにつく。それ以外はあり得ない」と発言した。

加えて同氏は、戦争の終結は二つの要因にかかっているとし、それはウクライナに必要な武器を供与することと、欧州の国々の首脳がロシアの敗北へ備えることだと指摘した。

同氏は、「欧州ではまだ理解されていない。欧州の国々の政治エリートと社会は、『ロシアは負け得る』という1つのシンプルなことを信じなければいけない。欧州の国々には、ロシアが負けるということへの心理的な備えが必要だ」と強調した。

写真:AA