米元ウクライナ担当特別代表、プーチン露大統領の主張する「NATO接近の懸念」へ疑問を提示

トランプ政権時に米国務省にてウクライナ問題担当特別代表を務めたカート・ヴォルカー氏は、ロシア政権の主張する「ロシア国境への北大西洋条約機構(NATO)接近による懸念」は、別の目的のための「都合の良い言説」に過ぎないとの見方を示した。

ヴォルカー氏がウクライナのニュースサイト「ツェンゾール」へのインタビュー時に発言した

ヴォルカー氏は、「私は、それはその話(編集注:ロシア国境へのNATO接近による懸念)ではないと思っている。私は、その話は、彼(プーチン露大統領)が常にやりたいことを正当化するのに役立つ、都合の良い言説に過ぎないと思っている」と発言した。

同氏はまた、ロシアはNATOが創設された当初からNATOと国境を接していたと指摘し、「彼らは、NATOがロシアにとっての脅威でないことはわかっているのだ。そして、ソ連崩壊後にNATO軍の準備水準がむしろ低下したことも彼らは知っている」と指摘した。

記者から、プーチン氏がソ連時代のKGB出身であることから、彼が当時の思考法で物事を考えている可能性について尋ねると、ヴォルカー氏は、プーチン氏は「非常に賢く、自分が何をしているかわかっている」と回答した。同氏は、「私は、人々はある程度、自らの発言の影響を受けたり、ソ連的世界観の残滓に一定程度囚われたりする可能性はあると予想する。しかし、私は、この点ではむしろ、偉大なロシアの再建が考えられているのであって、本当にNATOを懸念しているのではないと思っている」と発言した。