クレーバ外相、プーチン露大統領によるウクライナの「先住民法案」批判に反論

ドミトロー・クレーバ外相は、ウクライナ人とロシア人の間の深い溝ができたことの全責任は、侵略を開始したウラジーミル・プーチン露大統領にあるとコメントした。

クレーバ外相が、同日のプーチン露大統領の発言に反論する形で、ツイッター・アカウントにコメントを掲載した

クレーバ外相は、「ウクライナ人とロシア人は、二つの異なる民である。2014年にロシア連邦がウクライナに侵攻せず、何千もの人々を殺さず、領土を占領していなければ、私たちは、良き隣人として生きていくことができたかもしれない。二つの民の間の深い溝の全責任は、侵略を開始したプーチンにある」と書き込んだ。

また外相は、ウクライナ最高会議(国会)が採択を目指している「先住民法案」に関連し、「ウクライナの先住民は、クリミア・タタール人、クリムチャク人、カライム人である。ロシア人は、民族マイノリティであり、その他の民族マイノリティ同様、憲法にて保護されている。ロシア人は、自らの国家を持っており、それゆえに先住民とはみなされない。代わりの幻想譚は、古典的なロシアの印象操作である」と説明した。

その他、外相は、プーチン露大統領がウクライナは外部から操作されていると発言したことにつき、「その発言は、プーチンがウクライナ問題がモスクワで決められることを望んでいる、ということを意味している。ゼレンシキー大統領の立場とウクライナの人々の意思は、明確であり、ここは私たちの国であり、自分の運命は自分で決める、というものである」と強調した。

これに先立ち、30日、プーチン露大統領は、国民からの質問に直接答える番組「直通回線」出演時、ウクライナの先住民法案にコメントしていた。プーチン氏は、同法案はロシア人を「非先住民」と定めるものであり、ロシア人は出ていかなければならなくなる、大量破壊兵器に比するものだ、ウクライナ人とロシア人は1つの民だと思っているなどと持論を述べた上で、「今日のウクライナ首脳陣は、明らかに私たちにとって非友好的である。それは全くもって明白なことだ。そうでなければ、大統領が議会に提出した法案を説明するのは困難だ」などと述べていた。

さらにプーチン露大統領は、ゼレンシキー大統領との会談については、ゼレンシキー氏が「自国を外国に管理させている」ため、「(会談について)話すのは困難だ」などとも述べていた。

なお、5月18日、ゼレンシキー大統領は、クリミア・タタール民族虐殺犠牲者追悼の日に、最高会議に『先住民法』案を緊急法案として登録している。大統領府は、同法案につき、ウクライナの先住民の権利と、その権利を実現する際の特別性を定めるものであり、その目的は、ウクライナ・ネイションの団結と発展の先住民の促進、民族、文化、言語、宗教の面での自立性の発展だと説明している。