ブリスマ社監査はバイデン息子の違法を発見せず=リャボシャプカ前検事総長

検事総局における過去の案件の監査をした結果、天然ガス会社ブリスマ社にて取締役を務めていた米民主党のジョー・バイデン前副大統領の息子であるハンター・バイデン氏による違法行為の証拠は一切見つからなかった。

ルスラン・リャボシャプカ前検事総長が発言した。ロイター通信が報じた

リャボシャプカ氏は、「監査は終わっている。私は、検察官に対して、バイデン氏(編集注:ハンター氏)の関与可能性に関する事実を特に念入りに調べるよう要請していた。彼らは、そのようなものは何も見つからなかったと報告した」と発言した。

リャボシャプカ氏は、ブリスマ社関連案件の監査の際、圧力は一切感じなかったとも述べた。

なお、米大統領選挙にて民主党の候補氏名を確実としているジョー・バイデン前米副大統領は、オバマ政権下にてウクライナ問題に携わっていた。同時に、ジョー・バイデン氏の息子のハンター・バイデン氏は、ウクライナの天然ガス企業ブリスマ社の取締役に就いていた。また、ウクライナでは、ブリスマ社関連の刑事捜査が行われていた。

ドナルド・トランプ米大統領の顧問弁護士であるルディ・ジュリアーニ氏は、複数インタビューにて、バイデン前副大統領が当時ウクライナ内政に干渉し、汚職に関与していたと発言してきた。特に、ジュリアーニ氏は、ヴィクトル・ショーキン当時検事総長はバイデン氏の要請により解任されたとし、その要請理由はショーキン氏が自身の息子とブリスマ社の繋がりを解明しようとしていたからだと主張していた。

なお、ブリスマ社は、ヤヌコーヴィチ政権下のアザロウ内閣にて、2010年7月から2012年4月にわたり環境相を務めていたミコラ・ズロチェウシキー氏と繋がりのある企業。同氏は、2014年末にウクライナから出国したが、2015年初頭には検事総局が同氏を違法蓄財容疑で指名手配していることが判明した。

当初は検事総局がズロチェウシキー氏に関わる案件を複数捜査していたが、それら捜査案件は、2015年から2016年にかけて政権幹部の汚職犯罪捜査に特化した新設捜査機関である国家汚職対策局(NABU)に移譲されている。

2017年1月、ブリスマ社は、同社グループの総裁であるズロチェウシキー氏らに関する捜査・裁判案件は全て終了したと発表していた。

その後、米国の複数報道機関が、トランプ米大統領が2019年7月25日のヴォロディーミル・ゼレンシキー大統領との電話会談の際に、ゼレンシキー大統領に対して、ハンター・バイデン氏関連の捜査を開始しなければならないと主張していたと報じた。その際、トランプ氏は、対ウクライナ支援供与を一時凍結している。