ザポリッジャ原発、停電6日間 ウクライナ当局は欧州諸国にも「放射線影響」のおそれ警告

ウクライナの国家原子力規制監査庁は29日、ロシアに占拠されているウクライナ南部のザポリッジャ原子力発電所は、過去6日間にわたってウクライナの電力システムとの接続が途絶えたままになっており、核および放射線面の安全に対するリスクが生じていると伝えた。

国家原子力規制監査庁のコリコウ長官が報告した

コリコウ氏は、「占領者による核および放射線セキュリティの要件と原則の無視、ロシア軍による送電線への砲撃とその損傷、ウクライナの専門家によるこれらの送電線の復旧作業に対する障害の創出。これらの全ての行動が最悪のシナリオに沿った事態の発展を十分もたらし得る。ザポリッジャ原発の敷地にあるディーゼル燃料の備蓄がどれくらいあり、安全システムおよび安全上重要なシステムの稼働を確保するためにディーゼル発電機がどれくらいの時間稼働させられるかは、現状、正確には分わからない。何よりも、全て6基の原子炉内及び使用済み燃料貯蔵プールにある照射済み核燃料の冷却システムの稼働に関する話だ」とコメントした。

また同庁は、ザポリッジャ原発はすでに6日間にわたり、ディーゼル発電機からの給電のみを受けていると伝えた。コリコウ氏は、もし近いうちに占領者がザポリッジャ原発とウクライナの電力システムとの接続を復旧するための適切な条件を生み出さず、敷地内のディーゼル燃料が尽きた場合、ウクライナだけでなく欧州諸国にも放射線の影響をもたらす緊急事態の発生が十分にあり得ると強調した。

これに先立ち、9月23日にザポリッジャ原発の最後の外部給電線が切断されていた。予備の給電線は5月に既にロシア軍によって破壊されており、それ以来、占領者は復旧のためのウクライナの国営電力会社「ウクルエネルホ」の修理チームに安全の保証を提供していない。

ウクライナの原子力公社「エネルホアトム」は、ザポリッジャ原発の外部給電線はウクライナが管理する地域では正常だと伝えている。ロシア軍は意図的に原発を電力供給に接続せず、ウクライナに対して、偽情報活動を行っているという。

シビハ宇外相は、ロシアがザポリッジャ原発を「盗む」試みを準備しているとし、同原発を電力網に接続して再稼働させるべく、200キロメートルの送電線を敷設したと伝えている。環境保護NGO「グリーンピース」は、占領者がそのために現在のザポリッジャ原発の停電を利用する可能性があると指摘している。