EU、ウクライナへの900億ユーロ融資で合意

コスタ欧州理事会議長は19日、ウクライナ支援に900億ユーロを融資することで合意したと発表した。

コスタ欧州理事会議長がXアカウントで報告した

コスタ氏は、「合意に至った。2026〜2027年のウクライナ支援の900億ユーロ供給の決定が採択された。私たちはコミットし、私たちは実行した」と書き込んだ。

またコスタ氏は、その後の記者会見時、ウクライナはロシアが賠償を支払った後でのみ、今回の融資の返済をしていくことになると発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

コスタ氏は、「緊急措置として、私たちは(編集注:ロシア凍結資産ではなく)EU予算を裏付けとした融資を提供する。これによりウクライナの差し迫った財政需要を満たすことが可能となり、ウクライナはロシアが賠償金を支払った後にのみ、その融資を返済することになる。EUはこの融資の返済に凍結資産を使用する権利を留保する」と指摘した。

その他同氏は、今回ロシアに対する制裁を延長する決定が下されたことを報告した。

同氏はそして、「私たちの目的は戦争の長期化ではない。今日の決定は、ウクライナにおける公正かつ永続的な平和の達成に決定的な貢献をするものだ。なぜなら、ロシアを交渉のテーブルに着かせる唯一の方法は、ウクライナを強化することだからだ」と指摘した。

さらに同氏は、戦争、平和、復興の問題において、EUによるウクライナへの政治的・財政的支援は揺るぎないものであり続けると述べた。また同氏は、「私たちは、EUの中で自由で繁栄するウクライナを築くことを目指している」と発言した。

ススピーリネの報道によれば、メルツ独首相は、今回の決定は満場一致で下されたと発言した

メルツ氏は、「ウクライナ向けの財政支援パッケージが承認された。私が要請していた通り、ウクライナには900億ユーロの無利子融資が提供される。これらの資金は、今後2年間のウクライナの軍事および予算上のニーズをカバーするのに十分な額だ」と報告した。

また同氏は、同支援は戦争を終わらせるための決定的なシグナルだとし、なぜなら、プーチン氏が譲歩するのは、自らの戦争が利益をもたらさないことを理解した時だけだからだと説明した。

同氏はそして、「凍結されたロシアの資産は、ロシアがウクライナに賠償金を支払うまでブロックされたままとなる。私たちは先週、すでにそのための土台を整えた。ウクライナは、ロシアが賠償金を支払った後にのみ融資を返済すれば良い。そして私たちは次のことを明確に表明する。もしロシアが賠償金を支払わないのであれば、私たちは国際法に完全に準拠した形で、融資の返済に凍結されたロシア資産を使用する(編集注:今回の融資はロシア凍結資産を裏付けにしたいわゆる『賠償融資』ではないが、それが将来実現される可能性があるという趣旨)」と強調した。

加えて同氏は、EUは実績のある欧州の手段を活用し、「これ以上の遅延なく、直ちにウクライナへの支援を提供できる」と指摘した。

ウクライナのゼレンシキー大統領は、Xアカウントにて、今回の決定につき謝意を表明した

ゼレンシキー氏は、「ウクライナへの2026〜2027年の900億ユーロの財政支援に関する欧州理事会の決定につきEUの全てのリーダーたちに感謝している。それは私たちの強靭性を真に高める著しい支援だ」と書き込んだ。

また同氏は、ロシア資産が引き続き動かされないこととウクライナが今後数年間の財政面の安全の保証を受け取ったことが重要だと指摘した。

同氏はさらに、結果と団結につき謝意を表明した。