キーウ市区行政裁判所、プリヴァト銀行の国有化を違法と判決 中央銀行は控訴へ

キーウ市区行政裁判所は、大富豪(オリガルヒ)のイーホル・コロモイシキー氏の中央銀行、閣僚会議等を相手とした訴状内容を認め、プリヴァト銀行の国有化を違法とする判決を下した。

18日、キーウ市区行政裁判所広報室が発表した

発表には、「キーウ市区行政裁判所は、イーホル・コロモイシキー氏の中央銀行、閣僚会議、個人預金保証基金、国家有価証券・証券市場委員会に対する訴訟案件を審議し、その結果、公開会社『プリヴァト銀行』の国有化を行った責任者の決定が違法であることを認め、国家による銀行株式売買合意を無効と認めた」と書かれている。

また、本件の審議は、2017年6月から続いていたと書かれている。

同裁判所は、今回の決定の根拠として、プリヴァト銀行を国有化することに繋がった同銀行を債務超過カテゴリーに分類するための法で定められた根拠の存在が、責任者によって十分に提示されておらず、また銀行国有化手続きに違反があったことを挙げている。

同日、ウクライナ中央銀行は、今回のキーウ市区行政裁判所の判決を受けて、控訴するつもりであると発表した。同銀行の公式ウェブサイトにコメントが掲載された。

発表には、「ウクライナ中央銀行は、キーウ市区行政裁判所による債務超過していたプリヴァト銀行を国家の介入により国有化する決定を違法とし、無効化するとの判決に同意せず、同決定に対する控訴を準備している」と書かれている。

プリヴァト銀行の国有化は、2016年12月に、ウクライナ中央銀行とプリヴァト銀行の株主によってウクライナ政府に提案されたもの。その際のプリヴァト銀行の最大の株主は、イーホル・コロモイシキー氏と富豪ヘンナジー・ボホリュボウ氏であった。ウクライナ政府は、提案を受けて、プリヴァト銀行を国有化し、そのプロセスに計1550億フリヴニャ以上を拠出していた。

2018年9月、キーウ(キエフ)区行政裁判所は、プリヴァト銀行が支払能力を失っているとする中央銀行の評価を合法的だと認めていた。

なお、本年4月、コロモイシキー氏は、記者から、プリヴァト銀行国有化に関する補償を求めるつもりかと問われたに対し、「私は、プリヴァト銀行は要らない。しかし、同銀行には20億の資産があったのだ。それを返させれば、問題はない」と発言している