NATO諸国が国防費にGDP比5%を投じなければ、ロシアはNATOより強くなる=NATO事務総長
北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長は、NATOは現在「かつてないほど強力」ではあるが、加盟国が国防費にGDP比5%を支出するという義務を履行しなければ、数年後にはロシアの方が強力になるだろうと指摘した。
ルッテ事務総長がBBCとのインタビュー時に発言した。
ルッテ氏は、今年6月にハーグで開催された同盟サミットで、トランプ米大統領の圧力により生じた、各NATO加盟国が国防費にGDP比5%を支出するという義務は「トランプ氏の外交政策における最大の成功」だと指摘した。また同氏は、米国大統領のおかげでNATOは「かつてないほど強力」になったとし、さらに、これは「集団防衛にとっても、NATOにとっても、ウクライナにとっても良いニュースだ」と指摘した。
また同氏は、「現在、私たちは以前より強力だ。しかし、もし私たちがハーグの決定(編集注:国防支出の増額に関する決定)を履行しなければ、数年後には私たちはロシアよりも弱くなるだろう。それは極めて危険だ」とルッテ氏は強調した。
その他同氏は、ロシアが自らの「歴史的土地」と呼んでいるウクライナ領土を征服する意図に関する、プーチン氏の最近の発言についても言及した。同氏はその際、プーチン氏が「ウクライナに対するコントロールの回復」、あるいは旧ソ連を構成していた全ての領土に対するコントロールの回復という「歴史的思想」を追求した上で、110万人の自国民を死なせる、ないしは重傷を負わせたことは「狂気の沙汰」だと述べた。
同氏は加えて、ウクライナ、米国、欧州の代表団が、NATO第5条をモデルとしたウクライナへの安全の保証の付与について協議した、ベルリンでの首脳会談の成果についても言及した。同氏はその際、「ロシアは、(編集注:ウクライナに)与えられる安全の保証を考慮すれば、二度とウクライナへの攻撃を試みるべきでないことを理解するだろう。なぜなら、私たちの対応は(編集注:ロシアにとって)壊滅的なものになるからだ。私たちは正にそのことを現在議論している」と語った。
写真:NATO