米欧が策定した安全の保証はウクライナ軍の強化や欧州部隊展開等想定=報道

米国は同盟国と共に、ウクライナ軍の著しい強化、ウクライナへの欧州諸国の部隊の展開及び米国のインテリジェンス能力の積極的な活用を盛り込んだ、ウクライナのための安全の保証計画を策定した。

ニューヨークタイムズ(NYT)が文書の草案に詳しい当局者の発言をもとに報じた

記事では、ベルリンで2日間にわたりウクライナ首脳陣と協議を行った米欧の外交官らは、将来の安全の保証を概観する2つの文書に概ね合意したと指摘されている。これらは、停戦及び終戦を目指す、より広範な合意の基礎となるべきものだという。文書はまた、和平合意の枠内において、特定の領土譲歩とNATOへの正式な加盟の断念でウクライナを説得することも意図されているとある。

同時に、NYTは、ロシアが今回の交渉の当事者ではなく、同国が妥協の準備を示していないことから、完全な停戦は依然として達成困難なままだと評価している。

記事はさらに、安全保障に関するこれらの文書の議論は、フランス、ドイツ、イタリア、英国を含む約10か国の欧州諸国の首脳や高官の参加を得て、8時間以上にわたって実施されたと伝えている。

米欧の外交官らによれば、それら文書の1つには、内容面で北大西洋条約第5条の保証と類似した一般原則が含まれているという。

2つ目の文書は、ロシアによるウクライナ領土制圧の新たな試みを阻止するため、米欧の軍隊がどのようにウクライナ軍と協力するかにつき、詳述するものだという。米国の当局者によれば、同文書は侵攻の可能性に対する抑止及び対応に関して「極めて具体的」な内容だと述べている。

この計画の主要要素は、現代的な訓練と装備を備えた80万人規模のウクライナ軍を確立することだという。

また、これらの文書は、空域及び海域の保護のためにウクライナ領内で活動していく欧州主導の軍事ミッションの創設を想定しており、その戦力は、あり得る停戦ラインから遠く離れたウクライナ西部に配置される見通しだという。

欧州部隊の展開イニシアチブは、「有志連合」の枠組みの中でフランスと英国が調整しているという。米国は、停戦体制の監視、ロシアの行動のコントロール及び想定される挑発の探知を確保する準備があるという。

ウクライナにとっての主要な懸念事項の1つは、1994年の「ブダペスト覚書」を巡る状況が再来するリスクだという。米欧の当局者らは、今回の新たな安全の保証は法的拘束力を持つべきであり、各国の批准手続きを経ることになると断言しているという。

写真:freepic