航空機メーカー「サーブ」社、ウクライナに「グリペン」製造工場を開設へ
スウェーデンの航空機製造メーカー「サーブ」社は、ウクライナによる戦闘機「グリペン」150機の獲得に関する将来の契約の一貫で、最終組み立て工場を開設する容易があるという。
サーブ社のミカエル・ヨハンソン最高経営責任者がフィナンシャルタイムズに伝えた。
ヨハンソン氏は、ウクライナとの間の100~150機の「グリペン」獲得契約は、サーブ社の「グリペン」製造ニーズを倍増させることになると述べた。同社はすでにブラジルで年間約20~30機のグリペンを製造できる体制に投資しているが、それでも足りなくなる見込みだという。ヨハンソン氏は、ウクライナとの間の100~150機の「グリペン」獲得契約は、サーブ社の「グリペン」製造ニーズを倍増させることになるとし、同社はすでにブラジルで年間約20~30機のグリペンを製造できる体制に投資しているが、それ以上のニーズとなると説明した。
同氏はその際、「戦時下では容易ではないが、少なくとも最終組み立てと試験のための設備、できれば一部の部品の生産も、ウクライナで行えるようになれば素晴らしい」と述べた。
また同氏は、ブラジルでの生産能力拡大に加えて、カナダや他の欧州諸国での生産も検討していると伝えた。
これに先立ち、先週、ウクライナのゼレンシキー大統領とスウェーデンのクリステンション首相が、ウクライナによる戦闘機「グリペン」購入を目指す意向書に署名していた。ただし、その資金調達の詳細はまだ合意されていない。ウクライナは、すでに米国製の戦闘機「F16」を複数受け取っているが、「グリペン」の方がウクライナのニーズにより適しているとみなされている。
その理由として、フィナンシャル・タイムズは、「グリペン」は、「F16」と異なり、ロシアとの戦闘を想定して開発されたものであり、一般道路からの離着陸が可能で、整備の柔軟性が高く、要件も少ないためだと伝えている。
そして、サーブ社にとって、ウクライナとの契約は大きな追い風になるという。
同社はこれまでに、スウェーデンに60機、ブラジルに36機、タイに4機の最新型「グリペン」を販売しているという。
クリステンション首相は、この契約の将来の資金調達についてEU諸国の首脳たちと協議しているという。 サーブ社のヨハンソン氏は、その資金源の選択肢の1つとして、首脳たちが合意した場合の凍結されたロシア資産の一部の利用を挙げた。現時点では、本件はベルギーが抵抗している。
ヨハンソン氏は、「資金調達に関する解決策を見つけなければならず、現在、それが政治レベルでが議論されている。スウェーデンがどの程度の資金とリスクを負担するのか、どの部分を各国が分担できるのか、どの部分を没収されるロシア資産から利用できるのか。これらの点はまだ完全には明確ではない」と説明した。
エージェンシー・パートナーズの航空・防衛産業の専門家であるサシュ・トゥサ氏は、サーブ社には「他の多くの企業よりも大きなチャンスがある」と述べた。同氏は、「グリペン」の年間生産のピークは18機程度であり、現在サーブ社は「その半分より少し多い」数を生産していると述べる。
同氏は、最も難しいのは、その生産数を上回ることだと指摘した。
写真:サーブ社