ロシアとの対話がうまくいかなかった場合の準備必要=NATO事務総長

ストルテンベルグ北大西洋条約機構(NATO)事務総長は、同機構はウクライナ周辺のロシア軍集結による緊張を緩和するために、何よりも外交的手段の模索を重視しているが、同時に、更なる紛争が生じる可能性は現実的であり、外交がうまくいかなかった場合に備える必要があると考えている。

7日、ストルテンベルグ氏がNATO外相オンライン会談後のブリュッセルでの記者会見時に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

ストルテンベルグ氏は、「同盟国は、ウクライナ国内とその周辺におけるロシアの挑発されたわけでない、正当化できない軍の集結とその欧州の安全への影響につき審議した。私たちは、国際社会の訴えに反し、すでに何週間にもわたりロシアが緊張緩和の行動をとっていないことを残念に思っている。ロシア軍集結は何万もの兵力と重火器を引き連れて継続しており、それにはまた脅しのレトリックが伴っている。そして、過去に隣国に対する力の行使があったことが背景にある。紛争のリスクは現実的だ。ロシアの攻撃的行動は欧州の安全保障秩序を弱体化させている」と強調した。

同氏はまた、NATOはロシアに対する二重アプローチにコミットしているとし、強力な抑止・防衛政策が、内容ある対話と並行して進んでいると指摘した。その中で、同氏は、ロシアが12日にNATOロシア理事会会合に出席することは肯定的なシグナルだとし、その会合はウクライナとその周辺の情勢、並びに、欧州の安全保障への影響に完全に焦点が当てられると伝えた。さらに同氏は、本件に関する外交の活発化、特に、ジュネーブで10日に行われる米国とロシアの協議、また13日に欧州安全保障協力機構(OSCE)で行われる協議を歓迎し、これらの会合は、ロシアが対話と外交に真剣に向き合っていることを示す機会を同国に与えるものだと指摘した。

加えて同氏は、これらの対話は、欧州安全保障の重要原則にもとづき、ロシアの行為に関する同盟国の長期的懸念を考慮し、ウクライナとの協議の上で行われなければならないと指摘した。同時に、NATOはジョージア、モルドバ、フィンランド、スウェーデン、EUといったその他の重要パートナーとも緊密な協議を行っていると伝えた。

ストルテンベルグ氏は、「NATOはロシアとの対話を支持している」としつつ、同時に、「しかし、私たちは、外交が失敗する可能性に向けても準備しておかなければならない。今日、大臣たちは、ウクライナに対するどのような更なる侵攻も多大な結果と、ロシアにとっての高い代償をもたらすと強調した。同盟国は、ウクライナとともに立ち続けている。私たちは、同国の主権と領土一体性を完全に支持しており、政治的かつ実践的支援を与えている」と強調した。

さらに同氏は、1月10日、自身が議長となり、クレーバ・ウクライナ外相が参加した上で、NATOウクライナ委員会会合が開催されることを喚起し、その際に、現状についての情報が交換されると伝えた。

同氏は、「その規模や、誰が隣国なのかを問わず、全ての国が、自らの道や自らが(加盟を)求める同盟についての決定を下す根源的権利を有している。それはが何十年にわたる欧州の安全保障の根源的原則であり、ロシアはそれを順守する義務を負ってきたのだ」と指摘した。

加えて同氏は、今日、NATO同盟国は同機構は自らの加盟国を防衛する準備が常にあることを明言したとし、NATOは欧州と北米の間の安全保障、防衛、基本的価値の面での連携のためのユニークなプラットフォームであり続けていると指摘した。