EU、ウクライナ周辺のロシアの行動を懸念

欧州連合(EU)は、ウクライナ東部の治安情勢の悪化、ウクライナ国境沿いやクリミアでのロシアの行動を懸念を持って観察している。

11日、ウィーンのOSCE常設理事会会合の際にEUの声明が読み上げられた。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

EUは、声明にて「ロシアによるウクライナ東部の侵略行為とクリミア自治共和国・セヴァストーポリ市の違法併合の開始から7年以上が経過している。これらは、欧州の安全保障秩序に深刻な脅威を生み出し続けている。それが、EUがウクライナの治安情勢の悪化と国境付近及びクリミア半島におけるロシアの行動を懸念を持って観察し続けている理由だ」と指摘した。

EUはまた、ロシアがウクライナ国境付近で軍事力を再び増強している可能性に関する報告は、それが確認された場合は、警戒することになると伝えた。

声明には、「私たちは、同志国と緊密な対話を取りつつ情勢の展開を追い続けている。ロシアに対して、軍の配置の透明性に関するウィーン文書の義務と、4月14日の(OSCEの)常設理事会と安全保障協力フォーラムの共同会合における加盟国が表明した勧告につき喚起したい」と表明されている。

さらにEUは、ウクライナ領内にロシアの軍事機器が確認されていることにつき深い懸念を表明した。声明には、「(OSCE)ウクライナ特別監視団(SMM)は、非政府管理地域にて、頻繁にロシアの軍事機器について報告している。それらの報告は、ウクライナの非政府管理地域におけるウクライナ・ロシア国境地点で起きていることに関して、さらなる透明性が不可欠であることを強調するものである」と指摘された。

これに先立ち、10月31日、米ワシントンポスト紙がロシア軍がウクライナとの国境沿いに戦力と兵器を再び集結させていると報道。続けて、11月1日、米政治ニュースサイト「ポリティコ」は、ロシア軍のウクライナ国境近くの再集結を示すものとする衛星写真を公開していた。米政権は、ロシアによるウクライナ国境沿いの動きにつき、同盟国と協議を行っているとし、米国防省は情勢を注視していると発表している。

他方、11月1日、ウクライナ国防省情報総局は、ロシア軍の部隊・兵器の追加的投入は確認されていないと発表。2日、ウクライナ国防省は、2021年11月初頭時点のウクライナ国境付近及びロシア占領下クリミア・ドンバス一部地域に駐留するロシア軍兵力は約9万人だと発表した。また7日、ウクライナ大統領府は、米報道機関によるロシアがウクライナ国境付近に軍を再び集結させているとの報道につき、ウクライナはそのような集結を確認していないと発表している。