指名手配中のウクライナ元裁判官がモルドバで拉致

収賄容疑でウクライナ政府の要請で国際指名手配の対象となっているウクライナの元裁判官ミコラ・チャウス容疑者が滞在先のモルドバ首都キシナウにて外国人グループに拉致された。グループは、すでに対ウクライナ国境を越えたという。

5日、パヴロ・ヴォイク・モルドバ内務相が発表した。モルドバのニュースサイト「ニューズメーカー」が報じた

ヴォイク内務相は、モルドバ内務省部隊が捜査を行なっており、チャウス氏拉致の首謀者の一部を特定し、容疑者1名を拘束したと伝えた。

ヴォイク内務相はまた、「追訴について話すのは時期尚早だ。拘束したのは1名だけである。しかし、私たちは、拉致した人物が使用した車両を見つけており、指紋も採取し、彼らのやり取りも発見、拉致した人物を複数と経路を特定している」と発表した。

内務相は、拉致を実行したのは外国人グループであり、彼らはモルドバからウクライナへと出国済みだと述べた。犯罪計画についてのやり取りはウクライナ語で行われていたという。モルドバ治安機関は、情報・安全保障局と協力しており、ウクライナ側に国際指名手配を要請するつもりだと述べた。

ヴォイク内務相はまた、「チャウス氏は、ウクライナ国民であり、彼に対してウクライナで2016年に特別に高額の収賄容疑にて刑事捜査が開始されている。2017年、チャウス氏は、モルドバ国境を違法に越境し、モルドバに政治的保護を要請した。要請は拒否されたが、彼は本件を裁判所にて訴えていた。現在、高等裁判院にて本件が審理されている。ウクライナの法執行機関は、チャウス氏の送還につき繰り返し問い合わせをしていたが、しかし彼の地位が政治保護要請者である限り、私たちは彼の強制送還はできない。また、彼は自由に国内・国外を渡航することができる」と発言した。

これに先立ち、マイア・サンドゥ・モルドバ大統領がモルドバ内務省と情報・安全保障局に対して、キシナウにおけるチャウス氏の拉致をめぐる状況を緊急に解明するよう要求していた。

4月3日、チャウス容疑者の弁護士であるユリアン・バラン氏が、チャウス氏がキシナウ中心部にて武装した身元不明の男性グループにて拉致されたと発言。首都警察も同情報を認めていた。

チャウス氏は、2016年8月9日、ウクライナの国家汚職対策局(NABU)が15万ドルの賄賂受け取りを判明させていた。

同年9月、ウクライナ最高会議は、同裁判官の拘束に同意する決定を採択したが、チャウス氏はすでに国外に逃亡していた。2016年11月11日以降、チャウス氏はインターポール経由で国際指名手配されている。

写真:アレクサンドラ・バタノヴァ/ニューズメーカー