ロシア、クリミアへ移送したウクライナ国民にロシア国籍証明書の取得を強制=オンブズマン

ウクライナのデニーソヴァ最高会議(国会)人権問題全権は13日、ロシア連邦はウクライナ南部の占領下ヘルソン・ザポリッジャ両州からクリミアへ連行しているウクライナ国民に対して強制的にロシア国籍証明書を取得させ続けていると報告した。

デニーソヴァ全権がテレグラム・チャンネルに書き込んだ

デニーソヴァ氏は、「クリミアの占領政権は、露シスト(編集注:ロシアのファシストの意)プロパガンダテレビのための映像をまた作っている。ウクライナ大陸側の一時的占領地からクリミアへ到着した約10人の人が簡素手続きでロシアの身分証明書を受け取っている場面を流した」と書き込んだ。

同氏はまた、強制的にクリミアへ連れて行かれたウクライナ国民に対して、ロシアの身分証明書の取得が不可欠である、身分証明書がなければクリミアに住むことはできないとの「説明」されていると指摘した。

さらにウクライナ国民は、「フィルター・キャンプ」と呼ばれる人物の厳重審査を行う場所に入れられ、そこでウクライナの身分証明書を没収され、代わりに一時的居住許可書が発給されるのだという。

同氏は、「強制的にロシアの身分証明書を受け取ることになったウクライナ人は皆、ウクライナ国民である。私たちの国家は、ロシアが強制するロシアの文書は一つも承認しない」と強調した。

そして同氏は、ロシアの行動は戦時における文民の保護に関するジュネーブ第四条約に違反していると指摘し、国連の人権違反捜査委員会に対して、本件を考慮に入れるよう呼びかけた。

なお、ロシア連邦は、2014年以降、占領下ウクライナ領のクリミアとドンバスにてウクライナ国民に対してロシア国籍を違法に付与し続けている(「パスポータイゼーション」と呼ばれる)。ウクライナをはじめ、多くの国がこの被占領地で違法に付与されている「ロシア国籍」を承認していない(併合不承認政策)。