マリウポリ近郊で武装集団「DPR」が避難用バスを制止=ウクライナ副首相

ウクライナのヴェレシチューク副首相兼一時的被占領地再統合相は22日、ロシア軍が包囲するマリウポリ近郊のマンフシュ近くにて、合意した人道回廊を通っていた避難用バス車列がロシア武装集団「DPR」のメンバーにより制止されたと伝えた。

ヴェレシチューク副首相がテレビ出演時に発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。

ヴェレシチューク氏は、「彼らがやっていることは、本当に野蛮だ。今日、私たちが改めて開設を試みた回廊をバス車列と国家非常事態庁職員が通っていたのだが、それ(バス)は『DPR』メンバーに奪取された。バスは、マンフシュ(編集注:マリウポリから20キロの町)近くで止まっている。私たちは、それらを全力で引っ張り出そうとしている。そして、私は、『平和維持軍』を自称する者たち、平和をもたらしたと言っている者たち(編集注:ロシア軍)の言葉の価値を、全世界が知って欲しいと思っている。それは認められた回廊であり、私たちはその回廊に合意していたのだ。それなのに、今そこでは人々が人質になっており、機材は奪われてしまい、人は解放されるかもしれないし、されないかもしれないというメッセージが届いているのだ」と発言した。

加えて同氏は、マリウポリからは約10万人が脱出したがっているが、それが実現できていないと発言した。同氏は、「少なくとも10万と数千人が脱出できずにいる。実際には、回廊はあるべき姿ではない。それは、乗用車と徒歩で脱出できる者だけのものだ。想像して欲しい。本来ならバスに乗せて、ザポリッジャまで連れて行けることができる人たちを、10〜20キロ、それ以上歩かせねばならなくなっている」と発言した。

さらに同氏は、マリウポリ市内の劇場の周辺では常に砲撃があり、そこには救助隊もその他の人々も近づけないと述べ、そのため、そこの状況を直接評価することができていないと指摘した。

また、同氏は、北部チェルニヒウ州の状況について、同州にも人道回廊を開設したいと思っているが、軍人たちの連絡によれば、同州の回廊開設は利用者にとってあまりにも危険だと指摘した。

なお、現在、ロシア侵略軍がウクライナ東部マリウポリを包囲し続けており、これにより同氏の人道状況が著しく悪化している。ウクライナ側が激しく抵抗する中で、ロシア軍は民間施設を爆撃し、民間人に多くの被害を出しており、また民間人避難のための人道回廊の開設を妨害している。マリウポリ市議会は、3月14日時点で同市の民間人死者数は2357人に上ると発表している。

ウクライナのアレストヴィチ大統領府長官顧問は18日、現時点でロシア軍による東部マリウポリ市の包囲を解除することは不可能だとし、ウクライナ政権は政治・外交的手段の作業をしていると発言した。

写真:Stringer, Anadolu Agency