
ゼレンシキー宇大統領の信頼度65% 前回調査から若干低下
キーウ国際社会学研究所が5月15日から6月3日にかけて実施した世論調査の結果を発表した。
結果によれば、ゼレンシキー宇大統領を「信頼する」との回答は、2024年12月の調査時から調査ごとに徐々に増えており、前回の5月の調査時点では74%にまで達していた(「信頼しない」は22%)。
研究所は、「しかし、5月後半にはすでに、私たちは信頼の低下を観察している。ただし、現在の数値でも米国新政権との関係悪化の前よりは高いままである。今回の調査の結果によれば、65%のウクライナ国民がゼレンシキー氏を『信頼』しており、30%が信頼していない。信頼と不信の差は+35%。この数字は、2025年5月初旬の数字よりは低い(信頼:74%、信頼・不信の差:+52%)が、2025年2月初旬(信頼:57%、信頼・不信の差:+20%)よりは高いままである」と説明している。

また研究所は、信頼低下の具体的な理由に関する追加的な情報はないとしつつ、大統領への信頼の変化を解釈する上で考慮すべきいくつかの要因はあると指摘した。具体的に研究所は、「旗の下の団結」効果が弱体化したことを挙げ、2025年2月から、新しい米国首脳陣との関係激化を背景に、信頼と団結のかなり急激な上昇が見られたことを喚起している。そして、現在、それから数か月が低下しており、国民の間で新しい国際文脈への「慣れ」や、その大統領への姿勢への影響の低下が生じている可能性を指摘している。同時に、国内情勢といったその他の要因もまた、大統領の活動を評価したり、自らの態度を決めたりする上でより強力な影響力を持っている可能性も指摘している。
さらに研究所は、米国との間で締結された「鉱物資源合意」の短期的な影響の可能性にも言及している。前回の調査時(大統領への信頼が74%だった時)は2025年5月上旬で、合意署名直後だったとし、そのような激しい変化の後は、通常、より「普通の」数字に戻るものだと説明している。
研究所は加えて、戦争終結に向けた進展がないことも要因の1つかもしれないとし、ウクライナでは一部の人々が、特に2025年5月の様々な交渉を通じて、戦争終結が近付くことに過度に高い期待を抱いていたが、実際にはその期間の出来事は、戦争終結が近いことを示さなかったと指摘している。
研究所はまた、西部の住民が大統領をより信頼している(他地域では61~63%に対し、西部では73%)と指摘している。2025年5月初旬と比較して、南部と中部で最も信頼度の低下が見られた(ただし、これらの地域の信頼度の値も、2025年2月以前よりも高い水準を維持している)。東部では信頼度に変化は見られなかった(しかし、東部は2025年5月初旬の時点でも他地域に比べて信頼度が低かった)。
その他研究所は、大統領を信頼していないと回答した者は、領土の喪失に対する準備が大きいことが分かった。例えば、ゼレンスキー氏を信頼する人々のうち、36%が概して領土的譲歩への用意がある(具体的に何を指すかは特定しない場合)のに対し、信頼しない人々のうちでは46%に準備が見られたと指摘されている。
そして領土の喪失の内容を具体化して質問した場合には、より顕著な違いが見られたという。例えば、ゼレンスキー氏を信頼する人々の内、わずか13%のみが一部の地域を「ロシアの一部として正式に認める」準備があると回答。一方で、信頼しない人々の間では、44%が一部の占領地をロシアの一部として正式に認める用意があると回答していたという。
他には、ヘルソン市やザポリッジャ市のような占領されていない領土のロシアへの明け渡しに関しては、大統領を信頼する者の間では9%のみが準備を示したのに対し、信頼しない者の間では23%が準備を示したという。
同時に、法的なロシア領としての承認なく、ロシアの支配下にあることを事実的に認めるという選択肢の場合、ゼレンシキー氏を信頼すると回答した者の場合38%が準備があると回答、信頼しない者の間では、55%が準備があると回答したと説明されている。
今回の世論調査は、キーウ国際社会学研究所の独自世論調査「オムニブス」の一環で行われたウクライナのゼレンシキー大統領への信頼に関する設問部分。ランダム抽出での携帯電話を通じた調査で、ウクライナ政府管理地域全土の1011人の18歳以上のウクライナ国民が対象となったという。理論的誤差は、最大で±4.1%だと説明されている。