
ウクライナでのAIの日常的な利用調査 64%が「全く利用していない」
キーウ国際社会学研究所が今年2月14日から3月4日にかけて実施した世論調査結果を発表した。
また、上述の64%の内52%は、AIについて知ってはいるが、使ったことは一度もないと答えた。
9%の回答者は、AIを使ってみようとしたことはあるが、日常的には特に使っていないと回答した。
回答者の内26%が、AIの実践的利用の経験があると回答。その内9%は、1か月に数回ないしそれ以下の利用頻度、17%がより頻繁な利用(12%が毎日利用、5%が週に複数回利用)と回答した。

研究所は、この結果は、AIについての知識の水準は高い(88%)ものの、同時に、知識と利用の間には大きな差が観察されると指摘している。
その際研究所は、「ウクライナ国民の8人に1人だけがAIを日常生活に積極的に組み込んでおり、定期的な利用者(少なくとも週に1回)は17%である」と説明している。
年齢別に見ると、AIの定期的利用の回答が多かったのは18〜29歳の層。この層の54%が定期的にAIを利用していると答えた。
また、30〜44歳の回答者層では21%、60歳以上だと4%のみの回答となっている。研究所は、これは世代間のデジタル格差の大きさを示すものかもしれないと指摘している。

性別差では、男性のほうがAIの定期的利用回答が多く23%、女性は13%だった。
都市部居住者ではAIの定期利用の回答は21%、村落部居住者ではこの数字は9%となった。
回答者の収入面の違いに応じても、AI利用の差が見られた。「食事をするのにも十分な収入がない」と答えた回答者の内AIの定期利用の回答は4%。「高価な物を買うことができる」との回答者の間では、同回答は27%となり、財政面では「ほぼ全てのことができる」との回答者の間では、AI定期利用の回答は39%となった。

教育水準や居住地域の違いはAI利用の回答にはあまり影響が見られていない。
その他、45%の回答者は、AIに対する不安を感じているとし、AIには著しいリスクがあり、深刻な問題や災害すら引き起こすかもしれないと答えた。研究所は、これは技術的進展に対する懸念や不信の水準の高さを示していると指摘している。

39%の回答者は、AIにつき肯定的に見ていると回答。彼らは、AIは、人類を進歩やより良い未来に近付けていると答えた。
年齢別に見ると、若年層の方がAIを楽観的に見ている割合が多く、18〜29歳の間では楽観的な回答が63%、悲観的な見方が30%だった。
今回の世論調査は、キーウ国際社会学研究所が2025年2月14日から3月4日にかけて、CATI(Computer Assisted Telephone Interviewing)方式で、ウクライナの政府の管理が及ぶ全地域の18歳以上のウクライナ国民1029人を対象に実施したもの。理論的誤差は、最大で±4.1%だと説明されている。