ロシアにより連れ去られたウクライナ児童の帰還支援を行う市民団体、31名の児童帰還を発表

ロシアにより連れ去られたウクライナ児童の帰還支援を行う市民団体、31名の児童帰還を発表

写真・動画
ウクルインフォルム
ロシアにより連れ去られたウクライナ児童のウクライナへの帰還のための支援活動を行っている慈善団体「セーブ・ウクライナ」は、8日に31名の児童がウクライナへ戻ったことを発表した。

「セーブ・ウクライナ」のクレーバ事務局長(元ウクライナ大統領児童の権利問題全権)がメディアセンター・ウクライナ=ウクルインフォルムにおける記者会見の際に発表した。

クレーバ氏は、「現在、キーウに31名の児童が向かっている。これらの子供たちは3〜4時間で首都に到着する。これは私たちの5回目の救助ミッションであった。ミッションは、私たちが救出した子供たちの数に加えて、その困難さの点からも特別だった。残念ながら、2人の子供を連れ帰るはずだったおばあさんが、ミッションの最中に亡くなった」と発言した。

そしてクレーバ氏は、その女性の死亡によって、ウクライナに帰還した児童の数は当初の予定の33名ではなく、31名になったとし、今後その亡くなった女性の遺体と、その女性が連れ帰るはずだった児童を帰還させねばならないと説明した。その際同氏は、ロシア連邦保安庁(FSB)の長時間かつ繰り返し行われる尋問の存在を指摘した上で、「そのため、女性の心臓が止まったのはおかしいことではない」と指摘した。

同氏は、親たちが児童を連れ帰りに彼らの収容されているキャンプを訪れた際、ロシア側はそのキャンプに親たちをまとめて入ることは認めず、1人ずつのみ中に入れたとし、「彼ら(ロシア人)は、彼ら(児童)を柵の向こうに拘束し、親を1人ずつカメラの設置されている施設の中に入れた。彼らは、親が子供を連れ帰る前に、『ロシアが子供たちを守ってくれた』として感謝を述べるよう、親たちに圧力をかけた」と指摘した。

その他同氏は、「私たちはこの児童たちを探していたが、それは非常に困難だった。なぜなら、5か月間で居場所を5回も変えられた子供もいたからだ。1つのキャンプから別のキャンプに移動させられていた。その子供たちに何が行われていたかについては、非常に多くの証言がある」と発言した。

また、同氏は、2014年から数えると、ロシア領や被占領下ウクライナ領に滞在することになったウクライナ国籍の児童の数は150万に上るというデータがあるとし、「それは児童人口の約20%である。それはクリミア、ドンバス、その他の占領地の話だ。そして、残念ながら、様々な理由から現在ウクライナへ戻ることのできない、人質となっている子供もいる」と発言した。

同記者会見では、ロシアへと連れ去られてから、ウクライナへ帰還できた3名の児童がロシアでの体験について発言した。

帰還した男児、ヴィタリー氏は、最初はある程度普通の環境のキャンプに連れて行かれたが、その後他の児童とともに別のキャンプに連れて行かれたと伝えた。そして、ヴィタリー氏は、「その2つ目のキャンプで、私が部屋の1つに入ったら、そこには絨毯もカーペットも何もない、セメントの床で、3つのベッドがシーツのないまま置かれていた。私たちは、座って、シーツを2時間待ったけれど、誰もシーツは持って来なかった。キャンプの管理人のところへ行ったら、何もあげないよう義務付けられていると言われた。『私たちはあなたたちのためのボランティアではない、自分で持ってくるべきだった』と言われた」と述べた。

同氏はまた、そのキャンプでの食事は冷たいおかゆで、お茶も出されなかったとし、食べ物は自分で持って来ないといけなかったと指摘した。さらに同氏は、「私たちは毎晩『大切な』ことについての話を聞かされた。例えば、『ウクライナはテロリストだ』などという話だ。私たちは、両親に電話をかけることが許されなかった。私たちのところのキャンプでは、4時間毎にロシア国歌が流され、私たちはそれを自分の手の指のように暗記しろと言われた」と伝えた。

もう1人の帰還した男児、アルテム氏もまた、ロシア占領者がロシア国歌を歌うことを強制したと述べ、また同氏も「ウクライナは悪い」という話も聞かされたことを認めた。

アルテム氏は、「脅しがあった。私たちは精神医によって、もうあちらには帰れない、と言われて脅されていた。部屋では、私たちは床で寝ていた。ベッドも枕もなくて、マットレスだけがあった。私たちは、ジャンパーにくるまっていた」と伝えた。

帰還した女児アナスタシヤ氏は、自身の滞在したキャンプでは毎週決まった時間にロシア国歌を強制的に歌わされていたとし、拒否すると「感謝できないやつ」だと言われたと報告した。

またアナスタシヤ氏は、児童が占領者に対して、例えばバスなどで、親の元に帰らせてくれと頼むと、バスをチャーターするのは非常に高く、児童の親がやってきて連れ帰らなければならない、などと言われたと伝えた。

さらに同氏は、「毎晩私たちのところでは、ディスコなどのイベントがあった。そのイベントではウクライナ語では話してはならず、ウクライナから来たことも明かしてはいけなかった。私たちは、祖国の自分の場所に戻るために『お前たちは何もできない』と言われていた。そこでは、私を含め、児童が殴られていた」と発言した。

記者会見動画(英語吹き替え)

また、8日、「セーブ・ウクライナ」は、ツイッター・アカウントにて、31名のウクライナ児童がロシアの連れ去り先から帰還した際の動画を公開した。

なお、ウクライナ側オンブズマン事務所の情報では、4月8日時点で、ロシアに連れ去られたウクライナ児童の内、360人をウクライナへと帰還させられているという。


Let’s get started read our news at facebook messenger > > > Click here for subscribe

トピック

ウクルインフォルム

インターネット上の全ての掲載物の引用・使用に際しては、検索システムに対してオープンであり、ukrinform.jpの第一段落より上部へのハイパーリンクが義務付けてられています。また、外国報道機関の記事の翻訳を引用する場合は、ukrinform.jp及びその外国報道機関のウェブサイトにハイパーリンクを貼り付ける場合のみ可能です。「宣伝」のマークあるいは免責事項のある記事については、該当記事は1996年7月3日付第270/96-BPウクライナ法「宣伝」法第9条3項及び2023年3月31日付第2849ー9ウクライナ法「メディア」の該当部分に従った上で、合意/会計を根拠に掲載されています。

© 2015-2024 Ukrinform. All rights reserved.

Website design Studio Laconica

詳細検索詳細検索を隠す
期間別:
-